女子テニスで、世界2位の大坂なおみ(23=日清食品)が自身のSNSを更新し、30日に開幕する4大大会、全仏オープン(パリ)の期間中、「報道に関するいっさいの活動を行わない」と宣言した。

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人種差別への抗議に続き、大坂が「会見拒否」という形で問題を提起した。会見が義務で拒否した場合に罰金というのは、スポンサーやファンに支えられるプロテニス界の特徴でもあり根幹だ。

そこに大坂が切り込んだ。過去にも多くの選手が、会見を拒否した例はある。20年全米4回戦では、王者ジョコビッチが線審に球をぶつけ、危険行為で試合中に失格を告げられた。その後の会見を拒否し、危険行為に1万ドル(約110万円)、会見拒否に7500ドル(約82万5000円)の罰金。25万ドル(約2750万円)の賞金も没収された。

しかし、事前に会見拒否を宣言した選手は聞いたことがない。頭に血が上り拒否というのはあっても、会見の義務化と罰金に疑問を投げかけた選手はいないだろう。それがプロの役目という共通認識がテニス界にあったからだ。

大坂が一貫しているのは、プロ選手の前に「人」としてどうあるべきかということなのだろう。偏見や差別は許さない。敗退で痛んでいる心をさらに痛めつける行為はおかしい。なのに、拒否すれば罰金というのは理解しがたいと唱える。

ただ大坂の支払う予定の罰金は、大会が用意した賞金や、会見の向こう側にいるファンやスポンサーによって得た収入から捻出されるものだ。また、1回の罰金2万ドル(約220万円)という額は、今年約5カ月の時点で270位前後の選手の獲得賞金と同じ。年収60億円と算定された大坂とは異なり、彼女たちにとっては大金だ。そのような批判も覚悟の上での拒否宣言だと考える。【吉松忠弘】