東京オリンピック(五輪)バレーボール女子日本代表主将の荒木絵里香(37)が5日、引退会見を行った。かねて自身の節目に挙げていた東京五輪を戦い終えたことなど現役を退く理由を説明し、今後は所属するトヨタ車体の非常勤職員としてチームの運営に携わるという。バレーボール界の発展をさまざまな観点から学ぶため、大学院進学に向けて準備していることも明かした。

現役時代はプレーに支障があると控えていたボブヘアにした荒木は、紺色のスーツを着て登壇。晴れ晴れとした表情を浮かべながら、現役引退を決めた理由について<1>東京五輪を戦い終えた<2>愛娘和香ちゃんとの時間を優先したい<3>選手としての能力の限界を感じたと述べた。「バレーボールがうまくなりたいという一心でここまで来れた。不器用で下手なのは分かっているけど、執念深くあきらめない選手だった」と振り返った。

東京五輪では1次リーグ敗退と思うようにいかなかったことについて「責任と悔いは残っています」と率直な思いを語った。3年後の24年パリ大会に向けて「個人が力をつけて、代表チームとして結集することが大事」とエールを送った。

ミドルブロッカーの荒木は186センチの恵まれた体格を生かして、攻守の両面で長年日本女子バレー界で欠かせない存在だった。成徳学園(現・下北沢成徳)時代に大山加奈さん(37)らと春高、インターハイ、国体優勝の高校3冠を達成した。

卒業後に東レ-ベルガモ(イタリアセリエA)-東レ-上尾メディックス(現・埼玉上尾メディックス)-トヨタ車体と渡り歩き、五輪4大会出場(08年北京、12年ロンドン、16年リオデジャネイロ、21年東京)を経験。13年に東レを退団し、翌年に長女を出産。結婚、出産を経験した女性アスリートの多くが現役を退く例が多い中で、その後現役復帰した。夫で元ラグビー日本代表の四宮洋平さんや母の後押しも受けながら、再びトッププレーヤーに上り詰めた。

◆荒木絵里香(あらき・えりか)1984年(昭59)8月3日、岡山県倉敷市生まれ。11歳でバレーボールを始め、成徳学園高(現・下北沢成徳高)卒業後の03年に日本代表初選出。04年アテネ五輪は代表入りを逃したが、08年北京から東京まで4大会連続出場。12年ロンドンでは主将として銅メダル獲得に貢献。13年にラグビー元日本代表の四宮洋平さんと結婚。翌年に長女の和香ちゃんを出産後、再び現役復帰。186センチ、78キロ。最高到達点は305センチ。