近年はスケートに悩んでいることを公言している16年世界ジュニア女王の本田真凜(20=JAL)が、元世界女王の浅田真央さん(31)に救われていた。

演技後、自らエピソードを明かした。「この前の試合が終わってから、特に気持ちが落ちていたんですけど」と、まさかの12位に沈んだ今月上旬の東京選手権を回想。そして「東京ブロックの後、浅田真央さんから先生を通じて連絡をいただいて。2人で練習させていただいて、お話しもたくさんさせていただいて。今まで、ごあいさつくらいしかしたことなかったんですけど」と同じ時間を過ごしたことを明らかにした。

「浅田さんからの言葉は心に残ってることしかないんですけど、本当に素晴らしい方だなとあらためて思いました。練習では振り付けとかプログラムを見ていただいて『本当にステキだ!』と何度も何度も言ってくださったんです」

若くして輝くも、18年には全日本選手権では15位に沈むなど苦しんでいる。かつてのようにジャンプも跳べなくなった。最終的に12位となった東京選手権の演技直後には「自分の中では大学生が終わるまでかなと思う」と第一線を退くことも示唆した。「昔のように私のことを応援してくださる方がいるのかな?」とも葛藤する日々だったが、浅田さんとの交流が生まれて光が差し込んだ。

「自分の気持ちは折れかけていたんですけど『私を含めて真凜ちゃんを応援する人は多いよ』『元気な真凜ちゃんを見たいという人はたくさんいるよ』って言葉をいただけて。LINEでも『単発でジャンプが跳べなかったら、パート、パートにプログラムを分けて練習した方がいいよ。いい演技ができたら報告してね』とか。本当に、本当に支えていただきました」

10年バンクーバー五輪(オリンピック)銀メダル、世界選手権優勝3度、全日本制覇6度を誇るスターからの金言に、気持ちが前を向かないわけがない。3週間前はフリーが87・12点の全体16位で失速の要因となったが、この日は101・65点の5位。合計152・02点の総合5位としてショートプログラム(SP)8位から逆転し、上位5選手が進める全日本選手権(12月22~26日、さいたまスーパーアリーナ)の出場枠に滑り込んだ。

これで7年連続だ。浅田さんにも、いい報告ができる。「今回の東日本では、浅田さんに『全日本に出場する!』という約束をしたので。果たせたので良かったです」。全日本に黄信号がともった2日前には「フリーが終わってから、考えることを考えたい」と微妙な発言も残していたが、その姿はない。

「全日本に行けるからには、もっともっと自信をつけて、いい演技がしたいなと思います!」

雲がかかっていたような気持ちが晴れた。またスケートに心を弾ませる日々が真凜に戻った。【木下淳】