東海大大阪仰星(大阪第2)が東福岡(福岡)とのAシード対決を制し、4大会ぶり6度目の優勝に王手をかけた。前半5分までに10点リードを許したが、プロップ石原捷聖(3年)とCTB野中健吾(3年)のトライ、GKにより前半で14-10と逆転した。1年前の準々決勝で引き分けて、抽選で次戦進出を譲った相手にリベンジし、花園対戦成績は6勝4敗1分け。大一番を乗り越え、頂点は目の前だ。

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もう負けてない。積み重ねた自信が、東海大大阪仰星の背中を押した。7-10の前半28分、確信の逆転トライだ。CTB中が猛ダッシュした。体を張った。右中間の敵ゴール前、エリア獲得を狙う相手キックをチャージした。下がる相手を15人で襲う。左中間ゴール前から再びキックを狙った相手に、今度はCTB野中がドンピシャのチャージ。「思い切っていけました。全員で100%のプレッシャーをかけられた」。インゴールに転がる球を押さえ、絶叫した。

雪辱は、1年前から始まっていた。花園の準々決勝で、東福岡とロスタイム18分5秒の歴史的ドローに終わり、抽選で準決勝進出を逃した。昨年3月末の選抜は準決勝で17-46。湯浅監督は「引き分けは、ウチのノックオンで終わった“完敗”です。選抜は“引き分け”と思っていた意識があったせい」と振り返る。野中は「準備が全然足りないと思った」と言う。肌で感じたフィジカル差を埋めるため、全員が体を作り直した。野中はベンチプレス、スクワットがとも20キロ増の125キロ、210キロになった。湯浅監督は練習の口出しを減らした。選手が考え、判断、実行できるように促した。

1年かけて、答えを出した。試合開始5分で10点を奪われたが、慌てない。NO8薄田主将は「さすが東(福岡)だな」と思ったぐらいだ。フィールド中央付近の接点で入り負けし、甘くなった両サイドを狙われる展開を修正し、序盤の劣勢ムードを変えた。湯浅監督を「自分たちで判断して実行した。立派でした」とほめる、自立した選手がいた。

宿命のライバルを超え、花園の対戦成績は6勝4敗1分けになった。ただ、まだ満足しない。野中は言った。「僕たちの目標はここじゃないです」-。あと1勝。8日、初優勝へ勢いに乗る国学院栃木を破り、4大会ぶり6度目の日本一をつかみ取る。【加藤裕一】

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