またしてもベスト4の壁は破れなかった。東福岡が東海大大阪仰星(大阪第2)とのAシード対決に逆転負け。高校日本代表候補10人を擁するタレント集団が準決勝で姿を消した。これで5大会連続の4強止まり。昨春の選抜を制し、優勝候補の大本命だったが、今年も「1月5日」の呪縛を解くことができなかった。

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ラストワンプレーで、東海大大阪仰星がコンバージョンキックを決めた。22-42。直後にノーサイドの笛が響いた。東福岡フィフティーンはグラウンド中央まで走り、プレーを再開しようとしていた。戦う意思は貫いたが、優勝候補の大本命が準決勝で姿を消した。

試合の入りは、完璧だった。開始わずか24秒でFB石原がノーホイッスルトライ。先制パンチを食らわせたが、前半終了間際に逆転を許し、後半は防戦一方だった。藤田雄一郎監督(49)は「後半から徐々にコンタクトが通用しなくなって。すべてそこ。完敗です」と脱帽した。5大会連続の4強に終わり、また「1月5日」を越えることができなかった。

「今年はいける」。優勝に確信を持っていたのは、SO楢本とフランカーの八尋主将がいたからだった。特に楢本には「来年は楢本ロスになる」と話すほど、思い入れが強かった。

試合後の取材エリアで、楢本と指揮官は最後のハイタッチを交わした。楢本は「一生懸命やったんですが、僕の力不足です」と悔いたが、指揮官は「どれだけ(楢本)幹志朗に今まで助けられたか。よく背負ってくれましたよ、この1年間」とかばった。元々は進学校、修猷館を目指していた秀才。常勝軍団の10番を背負っていた重圧が解け「本当に東福岡で良かった。もう1回高校生をするとしても東福岡で、チーム八尋祥吾でやりたい」と、涙を流しながら話した。

高校日本代表候補10人を擁するタレント集団でも、頂点には立てなかった。指揮官は「どこまでこの壁(ベスト4)を乗り越えられないのか。このチームでさえ乗り越えさせてあげられなかった。自分がスローガンの『覚悟』と『MUST』を提示しただけに、自分も覚悟を持って結果を受け止めていかないと」。鬼門突破へ、下を向いている暇はない。【只松憲】

○…主将のフランカー八尋は「後半はずっと相手の勢いにのまれてしまった。そこは相手の強み。敬意を払って素晴らしかった」と敗戦を受け止めた。100人を超えるチームを率いてベスト4に貢献。苦しい時間帯には持ち前のジャッカルで何度も救ってきた。「ふがいない部分もあったかもしれないけど、ここまでついてきてくれて、支えてくれてありがとう。感謝の言葉しかないです」と、チームメートに最後の言葉を送った。

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