初のオリンピック(五輪)出場を目標に地元北海道で新たなスタートを切る。浦河町出身のスピードスケート女子ウイリアムソン・レミ(22)が1日、札幌市内で開かれた小鍛冶(こかじ)組(本社・札幌)の入社式に出席した。ソチ、平昌と2大会連続で五輪に出場した兄の師円(26)は3月に現役引退を表明。兄の思いも背負い、26年ミラノ・コルティナダンペッツォ大会、札幌市が招致を目指している30年大会出場にも意欲を示した。

故郷で迎える新生活。ウイリアムソンの表情は晴れやかだった。「すごく楽しみで頑張ろうという気持ちでいっぱい。ワクワク感と北海道に戻って来られた安心感があります」。大東大を卒業し、この日から土木・建築工事業などを手掛ける小鍛冶組に入社した。管理部総務課広報に所属しながらスケートを続ける。

縁あって地元企業への入社が決まった。ウイリアムソンが「スポーツに理解のある方で尊敬できる。この人のもとで頑張りたい」と話す、以前から北海道のスポーツ支援に努めてきた同社の小鍛冶洋介社長(44)が昨年、北海道オール・オリンピアンズのGMで84年サラエボ五輪スケート代表の鈴木靖氏(59)からウイリアムソンを紹介された。9月に初対面した同社長は「素晴らしい人間性とこれからもスケートに取り組みたいという意欲を感じた。即決めました」と、迎え入れることを決意した。

ソチ、平昌と2大会連続の五輪出場経験を持つ兄の師円が3月に現役引退を表明し、今後は後進の指導にあたる予定だ。「ずっと背中を追ってきた。兄の力も借りながら、一緒に高いところを目指していけたら」。今後は帯広を拠点にレベルアップを図り、目指すは初の五輪出場だ。

この日出席した入社式ではフォーマルなスーツに身を包み、辞令を受け取った。式中のあいさつでは「スケートを続けられる環境を与えていただけたことに感謝しています。1日でも早く戦力となれるように努力していきます」と新社会人として決意表明した。

色紙に記したのは「挑戦」の2文字。「昨シーズンはあまり納得のいくような成績も出なかった。今年は環境も変わるのでいろんなことに挑戦したい。失敗も経験して、成長していけたらいいな」。希望を抱いて走りだした。【山崎純一】

<アスリート支援>

◆小鍛冶組とスポーツ 同社は北海道を拠点に活動するアスリートの遠征費用をサポートするなどスポーツの普及に努めている。札幌市出身でノルディック・スキー複合女子の姉優奈、妹春香(ともに18)の葛西姉妹の支援も3月までしてきた。また野球経験を持つ小鍛冶社長の意向で、18年9月から小鍛冶組杯争奪小学校対抗ティーボール大会を小樽で開催。投手がおらず止まったボールを打者が打つ野球に似た競技の大会を実施し、子どもが野球やソフトボールに入門しやすい環境づくりをしてきた。軟式野球部も持っており、北照で13年センバツ8強に進出した左腕大串和弥(26)が在籍している。

◆ウイリアムソン・レミ 2000年(平12)1月14日、浦河町生まれ。兄の影響で5歳の時に浦河東部スケート少年団で競技を始める。山形中央高を経て、大東大に進学。主な成績は18年世界ジュニア3000メートル3位。自己ベストは3000メートル4分5秒96。5000メートル7分11秒46。趣味はカフェ巡り。好きな食べ物はパン。166センチ。