県ボクシング界で新世代が台頭している。第1回全日本アンダージュニア(UJ)フレッシュボクシング大会(3月25~27日、北海道)の男子57キロ級で斎藤鳳人(三条三中3年)が優勝。中学世代の日本一を決める全日本UJ王座決定戦(8月)でのシード選手決定とともに、県の中学生では初めて日本連盟の強化指定選手に選出された。同54キロ級で準優勝の寺島隆惺(五泉中2年)、同60キロ級の天井沢祐志(早通中3年)も全国トップレベルとして注目されている。

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<斎藤鳳人 三条三中3年>

未来のエースが評価を上げた。斎藤は3月の全日本UJフレッシュ大会優勝で、日本連盟の中学世代の強化指定選手に選ばれた。今後、合宿参加も予定されるが「レベルが高い選手の中で自分がどれくらいの力なのか試したい」と楽しみにしている。

実力を証明するためにも負けられないのが夏のUJ王座決定戦だ。シード選手のほかに東日本、西日本の各予選優勝者が参加し世代最強を決める。「優勝して世界で戦うきっかけにしたい」。全日本UJフレッシュ大会決勝では及川来夢(宮城・栗駒中2年)に3-0の判定勝ち。得意の左ストレートでダウンを奪うなど圧倒した。シード選手として、それ以上の内容で頂点に立つ決意を固めた。

上林小5年の時にUJ王座決定戦の小学生の部46キロ級、同6年では同49キロ級でともに優勝の実績を持つ。一方、中2のUJ王座東日本予選では準決勝で敗れて「力のなさを感じた」と挫折も経験した。週4日の練習のほか、5歳から取り組む空手も週1で練習。格闘技漬けの毎日の中で実力とメンタルを磨いてきた。

将来の夢は「五輪に出ること」。全国を経験しながら迎えた中学最終学年。ここから上る階段が世界につながっていくことを感じ始めた。【斎藤慎一郎】

◆斎藤鳳人(さいとう・たかと)2007年(平19)9月17日生まれ、三条市出身。上林小5年から杉沢ジムでボクシングを始める。5歳から空手にも取り組み、小学4、5年時に全日本青少年空手道選手権の学年別で優勝。タイプは左ボクサーファイター。171センチ。

<寺島隆惺 五泉中2年>

寺島は初の全国大会で好感触を得て次戦に備える。全日本UJフレッシュは決勝で一戸洸斗(青森・弘前東中3年)に1回1分55秒RSCで敗れたが「頭を下げる癖を出さずに戦えた」と課題を克服していた。

「次は王座決定戦に出る。今度は優勝したい」。まず県、北信越、そして東日本予選で優勝しなければならないが「自信はついた。カウンターを狙いすぎて下がりすぎないこと」と修正点は分かっている。

井上尚弥とマイク・タイソンの1発で倒す姿に憧れる。「将来はプロで世界王者になりたい」。夢実現へ1歩ずつの前進を誓った。

◆寺島隆惺(てらしま・りゅうせい)2008年(平20)9月18日生まれ、五泉市出身。五泉南小1年からキックボクシング、4年から五泉ジムでボクシングを始める。昨年は全日本UJ県大会優勝、同北信越大会準優勝。タイプは右ボクサーファイター。165センチ。

<天井沢祐志 早通中3年>

天井沢は悔しさをバネにUJ王座決定戦出場を目指す。全日本UJフレッシュは初戦で2回RSCで敗れたが「全国で勝てる手応えはあった」と言う。倒されたのではなく出血によるドクターストップ。それまでは接近戦でポイントを重ねる優位な展開だった。

目標は昨年の全日本選手権ライトヘビー級準優勝の兄一志(開志学園-拓大2年)。大会後、兄から「十分全国で勝てる」と褒められた。「まず王座決定戦で優勝して、高校に進んだら全国でタイトルを4つは取りたい」。雪辱を果たし、その勢いを将来につなげるつもりだ。

◆天井沢祐志(あまいざわ・ゆうし)2007年(平19)10月30日生まれ、新潟市出身。早通南小4年からキックボクシングを始め、中学から新潟市ボクシング教室でボクシングを始める。早通中では陸上部に所属し専門は短距離。タイプは右ファイター。168センチ。

◆ボクシング・アンダージュニア(UJ)の全国大会 全日本UJフレッシュは男女中学1、2年生が対象で春に開催。各階級全国9ブロックの代表各1人ずつと開催地の選手が参加する。各階級の優勝者は夏に開催の全日本UJ王座決定戦のシード権を獲得する。同王座決定戦はシード選手と、東日本予選と西日本予選のそれぞれの優勝者とで争う。