日本(世界ランク7位)が“世界最強”のフランス(同2位)を土俵際まで追い詰めた。フルセットまでもつれた激闘は3度のジュースの末に惜敗。セットカウント2-3で16年ぶりの8強を逃した。第3セットもジュースまで持ち込み、東京五輪と今夏のネーションズリーグを制した王者を慌てさせた。両チーム通じ西田有志(22=ジェイテクト)が最多31得点、石川祐希(26=ミラノ)が2番目の22得点を挙げた。

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祈りを込めた石川のジャンプサーブはネットに阻まれた。最終第5セット(S)。15-14、日本のマッチポイント。あと1点、決まれば大金星だった。最後まで勝負をかけ、3度のジュースの末に手の届くところにあった勝利を逃した。石川と西田は天を仰ぐ。高橋藍はユニホームで目頭を押さえた。東京五輪金のフランスとの差はわずか。だからこそ悔しさは増した。

「リードしている場面でネットにかけてしまった。自分の力のなさです。あと1歩の差。それはコートの中の選手が感じている」

7月22日のネーションズリーグ準々決勝。石川はイタリア入り後に左足首を痛めて欠場し、同じフランスにストレートで敗れていた。まだ万全ではなくてもこの試合にかける思いは強かった。第4S序盤には関田、西田とともに3本のサービスエース。サーブで崩し、土俵際まで追い詰めた。

24年パリ五輪へ-。両チームを通じ断トツの31得点を記録した西田は「ベスト8以上の財産が残った。また強くなって戻ってくる」。22点で続いた石川も「(今後)どれだけ勝つ経験を積むかにかかっている」と涙をこらえた。日本が金を獲得した72年ミュンヘン五輪から半世紀。再び夢を抱く希望の光が、かすかに見えた。【益子浩一】

▽日本のフィリップ・ブラン監督 本当に悲しい。そのひと言に尽きる。フルセット、タイブレークまで持ち込んで、ほぼ勝利を手中にしていた。大きな差はなかった。今後は8強、優勝に向けて進んでいきたい。

▽高橋藍 最終セットもリードする場面があったので、いい戦いができたことは間違いないです。1点を逃さないことが必要だとあらためて感じた。(サーブで)相手が嫌になるような、防ぐのが苦しくなることを考えていた。

◆日本の先発◆セッター=関田誠大、オポジット=西田有志、アウトサイドヒッター=高橋藍、石川祐希、ミドルブロッカー=小野寺太志、山内晶大、リベロ=山本智大

【プレミアム】世界との差は詰まったか…石川祐希、西田有志、高橋藍にバレー復権の夢を抱く