ショートプログラム(SP)首位の三宅咲綺(19=岡山理科大)が2連覇を飾った。

フリーもトップの116・00点を記録し、合計178・00点。得点が出ると笑顔を見せ「いつもは失敗したら気持ちが落ち込んで、失敗することが多い。今日は立て直すことができました。滑っている時は『本当に幸せ』と思いました」と喜んだ。

心機一転のスタートだ。

リンクサイドにはグレアム充子コーチの姿があった。中野園子コーチとともに世界女王の坂本花織、4大陸女王の三原舞依(ともにシスメックス)らを担当する指導者。三宅は昨季、21年12月の全日本選手権でSP26位と実力を発揮しきれず、上位24人のフリーに進めなかった。

転機は年明け1月のインカレだった。北京五輪(オリンピック)を間近に控えた坂本、籠谷歩未(同志社大)と食事し「つらいなら、こっちにおいで」とかねて親交があった2人に声をかけられた。

「全日本のショート(SP)で失敗が続いて、引きこもりみたいになっていました。そこで声をかけてもらって、5月に(地元の岡山から神戸に)来ました」

この日は序盤の3回転ループで転倒。それでも2本目は3回転ループに2回転トーループをつけ、最終盤には幅のある3回転トーループ-ダブルアクセル(2回転半)も披露した。神戸での新生活をスタートしてからは仲間とともに、ジャンプのミスが起きると曲が止まる「ミス止め」と呼ばれる練習を続けている。

「ミスをしたら練習ができなくなる。『意地でも立ってやる!』っていう根性が、ついてきていると思います」

伸びしろを残しながら、西日本選手権(10月28~30日、京都)へと進む。その先には12月に大阪で行われる全日本選手権が見える。

「今年も全日本に進んで(上位選手が選出される日本スケート連盟の)強化選手に戻りたいと思います」

すがすがしい表情で、力強く言い切った。【松本航】