ショートプログラム(SP)7位の本田真凜(21=JAL)が、新フリー「ムーラン・ルージュ」を競技会で初披露した。

ジャンプのミスが目立ち、フリー9位の88・01点。合計138・54点の8位と課題を残したが「久しぶりの新しいプログラム。もっと伸び伸びと、慎重にならずに滑れるようにしたいです」と意欲をにじませた。

「始まった時から鳥肌が立つぐらい、キラキラしていて良かったよ!」

演技後、振り付けを担当した宮本賢二氏から受けた言葉が、照れくさかった。

「もっとできます!」-

これまでは海外の振付師が担当することが多かった競技会用の演目。今季は幼少期から接点のある宮本氏に依頼した。日本語で会話をし、細部を磨き上げた。

「『これとこれだったら、どっちがやりやすい?』と言ってくださる。日本人の先生が久しぶりで、自分が思っていることを全部伝えられました。1つの動きについてもたくさん褒めていただき、やっていて心地よいです。試合になったらジャンプを考えすぎて慎重になるので、いつもの動きからしたら半分以下。そこが一番の課題と思います」

過去に世界的スケーターも滑ってきた名曲。思い浮かぶ演技がいくつかある。

「テッサさんとスコットさんのムーラン・ルージュが好きです。アシュリー・ワグナーさんのも好き。また違った良さを出せたらいいなと思いますし、自分の中で『このプログラムが好きだ』と思えるような、自分の良さを作れたらいいなと思います」

アイスダンスのテッサ・バーチュ、スコット・モイヤー組(カナダ)はフリーダンス(FD)で演じた18年平昌(ピョンチャン)五輪で金メダル。米国のアシュリー・ワグナーも14~15年シーズンからフリーで2季滑り、16年世界選手権2位など輝きを放った。成績はもちろんだが、作品で見る者の心を揺さぶった。

本田にとって次のステップは東日本選手権(11月4~6日、群馬・前橋)、突破した先には全日本選手権(12月、大阪)が見える。

「練習や(試合直前の)6分間の状態はすごくいい。ちょっとしたタイミング、呼吸の仕方、少しのズレを修正するだけで、ガラッと良くなるところまで来ている。自分に自信を持ちたい。『あとちょっとのズレを克服できたらいいんじゃないかな』と思います」

世界ジュニア選手権優勝から6年。あの当時は14歳だった。大学3年生になった今も滑る価値を、1つの作品に込める。【松本航】