14年ソチ、18年平昌オリンピック(五輪)2連覇王者で、今年7月にプロ転向した羽生結弦さん(27)の初単独アイスショーが、全2都市5公演の千秋楽を迎えた。

完走後、報道陣の取材に応じた。一問一答は次の通り。

(開始前に)疲れて死んじゃいそう、本当に(笑い)。今日6時起きなんですよ。

-「プロローグ」を完走し、涙も見えた

とりあえず、プロとしての最初のアイスショーということもあったので、まあとにかく、プロとして特に一番気をつけないといけないことは、けがをすることだと思っていたので。何より大きなけがなく、最後までこうやって完走し切れたことは本当に大きな経験になったかなと思うのと、あと、こうやって体調をちょっとずつ崩したりとかも、もちろんありましたし、過度の緊張だったり、プレッシャーだったり、いろんなことありましたけど。それでも、やっぱり多くのスタッフの方に支えていただきながら、こうやってプロとして活動していくんだなとあらためて実感したので。またこれからスポンサーの方々も含めて二人三脚で。自分の力だけじゃなく頼りながらも、これからもプロとして頑張っていこうと思っています。

-今日も満員だった。光景を見て、どのような感情になったか

正直、例えば2021年の全日本選手権でも思ったんですけど、これだけの歓声だったりとか、多くの視線を浴びながら滑ることって、あとどれくらいあるんだろう、っていう風に思いながら正直あのころは滑っていました。ただ実際、こうやって今プロになって、それでも多くの方々に見ていただき、また視線が届かない場所でもライブビューイングだったりとか、テレビだったりとか、そういったところでもたくさんの方々に見ていただいて。本当に何て言うんですかね、スケート、スケーター冥利(みょうり)に尽きるというか。本当にスケートをやっていて良かったな、と思える瞬間がたくさんありました。これからも皆さんがもし必要としてくれるなら、必要とされるようなスケートを、常に全力を尽くしてやっていきたいと思いますし。また心が別に離れたとしても、ふと目に入った時に、やっぱり羽生結弦のスケートっていいなって、ほんのちょっと、1秒でもいいんで思ってもらえるような演技を、これからも頑張って続けていきたいと思います。

-今日は「ロミオ+ジュリエット」から、ものすごく気合が入っていた

全部、気合が入っていましたよ(笑い)。

-千秋楽で解放感もあったのか

いやもう、最初から最後まで全力でした。あの、やっぱり自分の中でも「最後だ」ということはもちろんありましたし。ただ最後だからこそ、余計、最後まで体力を残しながら全力でやり切ることをやっていかないといけないので。そのバランスは僕にしか分からないと思うんですけど。すごい大変なショーではありました。ただ大きな崩れもなく、やっぱり最後までジャンプをしっかり決め切れて演技できたことは、これは競技的な観点かもしれないんですけど、やっぱりちゃんとジャンプ決めて全部ノーミスしてやれたのは自分にとっても自信になりますし、いい演技を届けられたという達成感にもなってます。

-1時間半、プログラムを演じた感覚か

そうですね(笑い)。常に休む暇もなく、ずっと滑り続けなきゃいけないですし。あとはプログラムによっていろんな気持ちの整え方だったりとか、届けたいメッセージだったりとか、いろんなことがあるので。そういう切り替えもいろいろ大変だったと思います。

-「SEIMEI」はノーミス。5公演、ミスなくいけたのはアマチュア時代より技術が上がったということか

そうですね。正直、毎日フリーやるよりもっと大変な気持ちでやっていて。もちろん4回転の数っていうことを考えたら、普通のフリーよりも全然少ないんですけど、トリプルアクセル(3回転半)の回数とかビールマン(スピン)を復活させたりとか、結構、体を酷使してやっているので。そういう意味では、単純に体力がついた、っていう感じはしました。ただもちろん、ちょっとでも気を抜いてしまえば、いくらでもボロボロになってしまう演目たちだったので、ちゃんと気を張ったまま1時間半、もっと言うと練習から本番までの間も含めて、ずっと緊張したまま最後までやり切れた。精神的な成長もあったのかもしれないなって自分では評価しています。