バスケットボール女子のWリーグは今季、ENEOSの4年ぶりの優勝で幕を閉じた。
アランマーレ秋田は、目標のプレーオフ(PO)進出はならなかったものの8勝18敗で10位。リーグ参入初年度の2勝から大きく躍進した。先日、6選手とスタッフ3人が今季限りでの退団を発表。日刊スポーツ東北版では「さよならアランマーレ秋田」と題し、退団者に在籍期間を振り返ってもらいます。第1回は佐藤ひかる(28)です。(敬称略)【取材・構成=相沢孔志】
今季限りでの現役引退を決意した佐藤は、もどかしい時間を秋田で過ごした。21年5月、プレータイムを求め、日立ハイテクから移籍。だが昨季開幕前に「脳脊髄液漏出症」を発症し、移籍1年目は出場なしに終わった。今季は出場を果たしたが、PO進出を左右するリーグ終盤に同漏出症を再発。この2年は「ほぼケガで終わってしまった印象。うまいこといかなかったという感じ」と悔やんだ。
鮮烈に輝いた時間がある。ベストゲームは22年10月23日、開幕カード2戦目のホーム山梨戦だ。前日22日に3点シュート(3P)5本で両軍最多23得点を挙げたが延長戦で惜敗。リベンジに燃えていた一戦だった。「空いたら打つ」。積極的にシュートを打ち、3P5本など同最多25得点をマーク。2日連続の延長戦を制し、今季初勝利に貢献した。
「もし(脳脊髄液が)2回目漏れたら、引退やバスケットを辞めなくてはいけないと考えていました。そういう気持ち(覚悟)でやっていたので、どの位置でどういうプレーをしないといけないのか明確になっていたから、シュートを思い切り打てました」
勝負を挑んだ1年だった。最初の発症から復帰を目指していた時は「周りにすごく止められた」が、反対を押し切った。「自分の中で『復帰する』と思っていたので、終わりは明確にして自分が納得できるように」。活躍する自分の姿を思い描き、14試合に出場し2桁得点が6試合。昨季の鬱憤(うっぷん)を晴らすように得点を重ねた。
PO進出という目標達成に向け、チームの士気が高まっていた2月中旬の練習中だった。チームメートの肘が後頭部にぶつかり、痛みがあった。
「シーズン中も何度か脳振とうというか、頭に入った部分もあったので『いつもの感じかな?』と思いました。いつもなら復帰、復活できるようなところを2、3日たっても症状が良くならなくて…」
同下旬に病院を受診すると、漏出の疑いがあると診断され、そのまま検査入院。退院後も安静を要し、チームに帯同することなく今季を終えた。「あと2、3年、バスケットをしたかった」と本音を明かしたが、それでも現役に「(未練は)ないです」と笑って言い切った。
PO争いを演じたチームは大卒3選手が加わり、新体制でリーグ3季目に向かう。「チームや伝統が作られていく過程だと思うので、(年齢の)上や下とか関係なく、みんなでチームを作っていけるようになれば強くなるかなと思います」。キラリと光ったあの瞬間を忘れず、チームメートに思いを託して、新たな道に進む。


