16歳のプロ車いすテニスプレーヤーの小田凱人(ときと、東海理化)が28日、都内で会見に出席し、日本初の国際テニス連盟(ITF)公認のジュニア大会を新設すると発表した。新たに日本生命とスポンサー契約を締結し、ゼネラルプロデューサーとして「日本生命 岐阜オープン」(8月10~13日、岐阜メモリアルセンター)を開催。成人向けのITFフューチャーズに加え、13~18歳によるジュニア部門を併催し、自らも同大会で初心者参加型イベントを運営する。

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昨年4月28日にプロ転向を宣言してからちょうど1年。5月に17歳になる小田が発表したのは、日本初となるITF公認のジュニア大会の新設だった。1年前と同じように、たくましい表情で「ヒーローになりたい」と繰り返した。「試合をするだけがスポーツ選手じゃない」。そう思うのは、自分にも“ヒーロー”がいたからだ。

9歳で左足に骨肉腫を発症。約1年に及ぶ入院期間に、動画サイトで12年ロンドンパラリンピックに出場した国枝慎吾さんのプレーを視聴し、10歳から車いすテニスを始めた。競技に触れて間もない、小学5年生の頃。その国枝さんが、子どもたちを育成するために開催していた「ドリームカップ」に足を運んだ。「ワクワクしながら、国枝選手に会うのを楽しみに参加しました」。今も当時の高揚感が心に刻まれている。

憧れのヒーローに近づくべく、国内外を転戦するようになると、車いすテニスの厳しい現状も知った。日本にはITFジュニアツアーがないため、力をつけるには欧州などへ遠征する必要があった。「大会が日本全国で開催できれば、車いすテニスを盛り上げることにもつながる」。1年ほど前からジュニア部門の大会創設を構想。1月の全豪オープンで準優勝するなど結果を残したことも自信となり「16歳だからといって、できないことはない」と夢を実現すると決心した。

「岐阜オープン」の期間中には、初心者参加型イベントも併催する。その名は「ヒーローズカップ」。小田の思いが詰まった企画だ。「国枝さんの時のイベントは楽しく参加した。僕もその場へ行って、いろいろな方とチャレンジしていきたい」。24年パリパラリンピックでの活躍を期待される男は、ヒーローになるためにコート外でも闘い続ける。【藤塚大輔】

○…シングルスの世界ランクで1位に61ポイント差の2位につける小田は、6月に全仏オープンを控えており、史上最年少での4大大会制覇を目指す。スピード感のある攻撃が武器で「思いきりラケットを振れば勝てる」と自信たっぷり。全仏オープンの会場は24年パリパラリンピックと同じで「名前の凱人の『凱』と、フランスにある凱旋(がいせん)門が同じ字なので縁を感じる。世界一になってグランドスラム優勝をしたい」と力を込めた。

◆小田凱人(おだ・ときと)2006年(平18)5月8日、愛知県一宮市生まれ。サッカー少年だった9歳、左足に骨肉腫を発症。国枝慎吾さんに憧れ、10歳から競技開始。21年に史上最年少の14歳11カ月でジュニア世界ランク1位。22年4月にプロ転向。同5月の全仏オープンに4大大会史上最年少で出場。23年1月の全豪オープン準優勝。