日本大(日大)アメリカンフットボール部の寮内で覚醒剤と乾燥大麻を所持した疑いで3年生部員の北畠成文容疑者(21)が逮捕された事件に関し、同部の学生幹部が9日、日刊スポーツの取材に応じた。

チームから逮捕者が出た責任を痛感した上で、部員123人の思いを伝えるため独白。9月2日に開幕する関東大学リーグ1部上位TOP8への出場容認を切望した。今後、参加可否の表明が関東学生連盟へ伝えられ、今日10日午後7時から始まる臨時理事会で協議される。

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出場可否が審議される“リミット”の10日を前に、部員123人を束ねる幹部選手が、重い口を開いた。

「うそか本当か分からない情報ばかりある中、この取材を受けるか迷いましたが、少しでも自らの言葉、行動が仲間のためになればと思い、前に立ちました」

同じ専用寮にいた当事者として、計り知れないほどの責任を感じていた。容疑者は3階、幹部らは2階で生活していたが“何かできたことがあったんじゃないか”との思いが消えない。

一方で、誠実にフットボールに向き合い、やるべきことをやってきた自負がある。チーム全体に目配せしてきたからこそ、リーグ戦に出場する機会を失いたくない。仲間の頑張りを無駄にはしたくない。本音はある。が、言葉にはしない。

日大が「悪質タックル」問題に揺れた5年前。現在の4年生は「新生不死鳥」の期待を受けて20年春に入学した。「あのようなことがあった後でも、憧れて入った部員が多い代です。自分も『フェニックスに入る』と覚悟を持って決めました。最後のシーズン。親への恩返しを込めて、学生日本一を目指してきました。123人の部員が123人分の思いを持っています」

1年時、新体制で再起したチームは甲子園ボウルに出場。2、3年時は関東TOP8の7位に沈んだ。迎えた最終学年、既に開幕まで1カ月を切った5日、本部から無期限活動停止処分を受けた。チーム全体の動きは止まったが、わずかな可能性を信じ、寮生も自宅生もルールに従って個別に体を動かしているという。

主将、副将3人、総務1人の学生幹部5人は7日、部員100人の署名を集めて秋のリーグ戦への出場嘆願書を大学側に提出した。

「何か状況が変わるかもしれない。やれることはやろうと相談し決めました」

前日8日夜の緊急保護者会では、幹部一同も悲痛な思いを訴えた。仲間の叫びの前では隠せなかった。「みんなと同じ思いです。試合に、出させてください」と。出席していた日大の沢田康広・競技スポーツ担当副学長と中村敏英監督が持ち帰り、この日も本部で協議された。今後、参加か否かの表明は関東学生連盟に伝えられる。現時点で他の違法薬物所持者は確認されていない。それでも出場が容認されれば、また賛否が渦巻くことは想像できる。

「もし秋のリーグ戦に出ることができたとしても、当然『おかしいだろう!』と声が上がるのは分かります。部から逮捕者が出て“そういった環境”と思われることも仕方ありません」

覚悟の上で、出たい。9月2日の法大戦まで1カ月を切った段階で迎える「運命の10日」を前に、フェニックスの切実な願いを代弁した。【松本航、木下淳】