日本バレーボール協会(JVA)名義で、女子有力選手の日本国籍取得を巡る国への上申書偽造が発覚した問題で、表面化翌日の19日、川合俊一会長(63)ら最高幹部3人が都内で会見した。法務局への提出を許した失態も、改めて認めて謝罪。虚偽文書を作成した人物を「女子日本代表の(強化に携わる)業務委託者や外部の複数名」と明らかにし、内部の関与は否定。会見実施こそ迅速だった半面、新たな事実には乏しく“ゼロ回答”が続いた。今回の事案を見抜けなかった第三者委員会にも再依頼する方針で、処分も委ねるなど、責任逃れに終始した。
◇ ◇ ◇
「国籍変更関連事案」に関する「上申書」提出報道についての報告会、と案内された会見は、予定の1時間を下回る45分間で終わった。国分裕之専務理事、内藤拓也業務執行理事を従えた川合会長が冒頭「ご心配をお掛けしまして深くおわび申し上げます」と謝罪。「時間が空くと隠蔽(いんぺい)の可能性も起きてしまう。素早く正直に話そう」と表沙汰になった翌日に会見を設定したが「把握していない」「分からない」の連発で追及をかわした。
問題は、本紙が川合会長に直撃した10日に把握したという。24年6月に虚偽の上申書が作成され、提出されたことは認めたが「出てきた文書が2種類ある」。関係者によると「途中経過」をつかまされており、特定できていない。偽造に関わった人物は「調査中で、複数名。女子日本代表の業務委託者と外部の者」。ここは「協会の外」だからか明確で歯切れが良かった。
国籍取得も、会長が「助けてあげなさい」と業務委託者に伝えたものだが「何か頼まれたら成功するまでやっちゃう人間。不正をしてまで…とは言っていない」と責任を押しつけた。処分も、自分たちにも降りかかるだけに、国分氏は「業務委託者、外部の方に対応できるのか…」。組織関与を否定する姿勢を貫いた。
協会名義の文書で国を欺いた以上、監督責任が避けられない川合会長も「22年に(不祥事が続いた)協会の立て直しを任され、すぐ公表して打開策をつくる。2度とないよう遂行することが仕事」と持論には雄弁だったが、引責辞任の可能性には踏み込まなかった。
今後も、外部の弁護士3人に委託する第三者委員会に「継続依頼」で丸投げした。しかし「まだ昨日の今日でコンタクトできていない」(国分氏)状態。今回の失態を見逃した第三者委に一新や増員も求めず、構成も非公表のままだった。前夜、本紙の報道文書を「ものすごく怪しい」と疑っていた川合会長の反撃もお預け。何もない会見だった。【木下淳】
◆問題経過 18年に来日した選手が、日本人男性と結婚後の23年1月に国籍取得を開始。「継続的な滞在」が必要な中、オフの半年間は帰国していたため難航し、代表入りさせたい協会の当時幹部が「海外出張命令」を装って要件緩和を画策した。24年5月に国への上申書「案」として作成したが、チームに「事実と異なる」と拒否されて撤回。25年6月に発覚した際に第三者委が検証し「未提出だった」と結論づけたが、実際は架空理由のまま無断で偽装が進められ、チームに隠して、協会名義で法務局に提出していた。一方、この上申書で手続きが進み、選手は24年6月に日本国籍取得。しかし協会が国際連盟の規定変更を見落としたため、全日本資格がない“代表難民”となっている。


