今大会限りで現役を引退する坂本花織(25=シスメックス)が、2年ぶり4度目の優勝で有終の美を飾った。フリー158・97点、合計238・28点はともに4年ぶりの自己ベスト更新。4度の優勝は浅田真央の3度を上回り、全種目を通じて日本人単独最多となった。

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神戸市立渚中学校に通っていたころ、坂本は夏休みの自由研究で世界地図を作った。海外を含め、滑ったことのあるリンクに印をつけていく。その数、30カ所。世界選手権で4個目の金メダルをつかんだ今、マークはいくつになるだろう。中野園子コーチが「遊んでいる時は先頭。何かやらないといけない時は後ろに隠れていた子」と振り返る少女は、世界中で愛された。

中学生の頃に30の印を打てた理由がある。所属の神戸クラブは、意外にも25年6月まで通年の練習リンクを持っていなかった。神戸の拠点は夏にプールとなり、小学生のころは大阪で夜中に滑ることもあった。ミラノ・コルティナ五輪前、坂本は「むちゃくちゃハンディはあったと思う」と回想した。それを「いろいろな氷を経験できて、対応力がついた。貸し切りが1時間半しかなくて集中力も鍛えられた」と捉えてきた。

18年平昌五輪に出場するまで1歳上で同門の三原舞依、同い年の樋口新葉、1歳下の本田真凜、2歳下の紀平梨花への注目が先行した。決してライバルをねたまず、刺激に変え、置かれた環境で努力を続けた。25歳まで歩み続けた世界の最前線。あの日々の積み重ねがなければ、きっと見えない景色だった。【松本航】

【フィギュア】坂本花織、日本人最多4度目V 浅田真央超え…現役最終戦で有終の美/世界選手権>>