<高校ラグビー:御所工・御所実40-17流通経大柏>◇3日◇準々決勝◇花園

 Aシードの御所工・御所実(奈良)が、初の準決勝進出を決めた。レギュラーの平均身長170・7センチは出場51校中4番目というちびっ子軍団が、4センチ以上大きな相手を圧倒した。ノーシードの京都成章(京都)も佐賀工(佐賀)に8-7で競り勝ち、5日に“古都対決”で激突する。

 小さくても、強い。御所工・御所実が、また1つ重い扉をこじ開けた。奈良県勢では過去、天理しか踏んでない準決勝の舞台へ、力強く勝ち上がった。普段は厳しい竹田監督も「ボールを良く動かすことができた。初戦は20%、3回戦は50%、今日は70%の力を出せた」と評価した。

 レギュラー15人の平均身長は170・7センチ。今大会出場51校中下から4番目だ。流通経大柏は平均身長で4・1センチ、同体重で4・4キロも大きかったが、気力で圧倒した。「めっちゃデカかったけど、小さくても絶対負けへんという気持ちでやった」。防御の穴を素早く突き2トライを挙げたSO吉井は胸を張った。

 試合運びも、うまい。体が小さい分、自陣に追い込まれると押し返すのに苦労する。だからキックを多用、とにかく敵陣での攻防を心掛ける。BKは連日1時間以上も居残りキック練習をこなしてきた。蹴った球は機敏さでフォローする。短い10メートル走を繰り返して鍛えたダッシュ力で奪い取り、得点につなげるのが得意パターンだ。

 小さいなりに体も鍛えてきた。2年前から京産大の野沢正臣トレーナー(48)に週1度講習を受け、体幹と下半身を鍛え上げた。CTB岡本圭主将はスクワットの数値が60キロ上がり、現在は160キロのバーベルを上げる。当たり負けしない自信が、勇気あふれるタックルの源だ。

 5日の準決勝は京都成章と対決する。練習試合を10度以上戦って「負けたのは1度くらい」とSO吉井。「相手に合わせず僕らのラグビーをしたい」と岡本圭は言う。御所実への校名変更のため、御所工の名前が残る最後の大会になる。区切りの年の“古都対決”を制し、初の日本一へ王手をかける。【木村有三】