ラグビーのトップリーグ、神戸製鋼に今季加入したWTB井関信介(23)が先発デビューを果たす。北海道胆振東部地震の影響で組みなおされた宗像サニックス戦(29日、札幌市月寒屋外競技場)に向けて27日、神戸市内で調整。落ち着いた表情で「やっとチャンスが回ってきた。この試合を無駄にできない」と気を引き締めた。

天理高-天理大と進み、この春トップリーグの世界に飛び込んだ。だが、天理大最終学年のシーズンで右足首を負傷。捻挫が悪化して靱帯(じんたい)を傷つけ、3月に手術を受けた。神戸製鋼入社後の研修は「松葉づえで受けていました」。そんな苦労を乗り越えながら地道にアピールし、デーブ・ディロン・ヘッドコーチは「運動能力が高い。その上でチャンスが来た」と期待を込める。

神戸製鋼では学びの毎日だ。元ニュージーランド代表の世界的SOダン・カーター(36)と一緒に自主練習をする機会も多い。

「僕が(実戦形式の)練習でキックを蹴ったことがありました。それを外で見ていたダンが、わざわざノートを持って近づいてきて『もし相手がこうしたら…』と、どこに蹴るかをアドバイスしてくれました。あの人から教えに来てくれたんです」

社会人1年目の新星がレギュラー争いに食い込めば、15季ぶり優勝を狙うチームの底上げにつながる。宗像サニックス戦に勝利すれば、8チームのレッドカンファレンス首位浮上。「試合が近づいてきたら、テンションが上がってくると思います」。50メートル6秒2の男は、虎視眈々(たんたん)とチャンスを狙っている。