<卓球:世界選手権>◇29日◇混合ダブルス1回戦◇横浜アリーナ

 史上初めて夫婦で世界選手権代表になった田勢邦史(27=協和発酵キリン)美貴江(29=十六銀行)組が、混合ダブルス1回戦でネフベドビッチ、パブロビッチ組(ベラルーシ)に4-1で快勝した。夫がつなぎ妻が決める必勝パターンで、5月1日の2回戦進出を決めた。

 田勢夫妻は得点のたびにガッツポーズをつくり、声をあげて相手をにらんだ。序盤から気合を前面に出して互いを鼓舞した。ジュースまでもつれた第4ゲーム。11-11から邦史がフォアの強打を外したが、美貴江が3連続でスマッシュを決めて逆転。ミスしても互いにフォローする連係の良さが光った。第5ゲームは2度の5連続得点で11-3と圧倒した。

 勝利の瞬間は、軽くタッチを交わす程度で笑顔を見せることもなかった。美貴江は「ずっとメダルが目標と言ってきているので勝っても気持ちを引き締めた」。もっとも互いについて夫が「輝いて見えた」と言えば、妻も「また一段と頼もしく思えた」。2人で顔を赤らめ、のろけた。

 世界ランクは邦史が260位、美貴江が63位。この日のベラルーシ人ペアは男子が192位、女子が57位と、ともに田勢夫妻より高い。だが邦史は以前から「チームワークで勝てるのが混合ダブルスの魅力」と話していた。夫は左利きで妻は右利き、ポジションを替えずに戦える強みもある。

 連覇した今年1月の全日本選手権の準決勝で、男女代表のエース水谷、福原組に勝利。試合中のミスで妻の集中力が切れかけたときに夫がタイムアウトを取り、流れを引き戻した。ともに「話さなくても相手の気持ちが分かる」という。交際開始から7年間でけんかは1度もないという相性の良さが最大の武器。今大会は「システムも攻撃パターンも全日本選手権より増えた」(美貴江)と、戦術面での充実ぶりも加わった。

 28日は2度目の結婚記念日だった。日付が変わった28日午前0時に互いに「これからもよろしくね」と別部屋のパートナーにメールを送った。中国の強豪はシングルスやダブルスに集中するため、表彰台のチャンスもある。日本一の仲良し夫婦の勢いはさらに加速しそうだ。【高田文太】