<春季高校野球・北海道大会室蘭地区:白老東3-1鵡川>◇10日◇1回戦

 北の大地の無名高校生に、日米8球団のスカウトが集結した。昨春の甲子園出場校・鵡川と対戦した白老東の平田晃基投手(3年)は、最速146キロの直球を武器に、毎回の13奪三振で9安打1失点で完投勝利。8球団のスカウトの熱視線を浴び「注目されるのはうれしいこと」と笑みを浮かべた。

 しなやかな腕の振りの183センチ右腕は、1回に自身最速タイの146キロをマーク。9回138球を投げて2四死球と安定感もあった。「直球中心なので気持ちで負けないようにした」。セの巨人、中日、広島、パの日本ハム、西武、ソフトバンク、オリックスと、ドジャース小島・日本担当スカウトの前で躍動した。

 漁師の長男として生まれた。進学時に「私立より地元の公立で楽しんでやりたかった」と、甲子園出場はおろか、春夏秋の3季を通じて室蘭地区を勝ち上がったことのない白老東を選んだ。全国的には無名だが、背番号8だった昨夏、公式戦初先発の鵡川戦で7回2失点と好投し、一部のスカウトの目にとまった。

 学校には室内練習場はなく、冬場の走り込みで昨秋から3キロ増の体重80キロ。オリックス中川スカウトは「生きがいい投手」と評価し、日本ハム森スカウトは「粗削りだけど素材はいい」。巨人大森スカウトは「未完成な部分があることが逆に魅力」と話した。人口約2万人の白老町の“原石”に、一躍注目が集まりそうだ。【村上秀明】