頼れる男だ。阪神藤浪晋太郎投手(21)が、窮地に陥っていたチームを救った。中日エース大野との投げ合いで8回無失点。9奪三振で今季両リーグ最速、初の大台クリアとなるシーズン201奪三振に。8回の危機も力でねじ伏せ、リーグトップタイの13勝目だ。これで藤浪登板ゲームは4連勝。甲子園に限っては、5月から負けなしの11連勝中だ。首位ヤクルトを0・5ゲーム差で追う虎には、藤浪がいる。
藤浪が甲子園を支配した。最大のピンチは2-0で迎えた8回。1死二、三塁で中日4番平田。トップギアにシフトチェンジだ。
「三振が欲しいところでした。右打者の一番打ちにくい、懐へのボール。頭にないボールだったんじゃないかなと思います」
カウント1-2からの4球目、内角高めに直球151キロを投げ込んだ。バットが空を切る。シーズン201個目の三振は空振りで奪った。プロ3年目で初の200奪三振をクリアした右腕。両リーグでトップの大台突入こそ、狙って三振を奪える球威と技術を身につけた証しだ。
エンジン全開のまま力で竜の切り札も封じた。さらに2死満塁で代打小笠原。「初球、2球目と押し込んでいた感じがした。鶴岡さんのリードもあって、自分もそう思ったので」。6球全て直球。この日128球目の154キロで三飛。ここも狙い通り。ストレートで押し込んだ。
悔しさを糧に成長し続けてきた。6位に終わった高校U18W杯を振り返ると悔しさがよみがえる。「野球とベースボールの違いを感じました。文化の違い、作戦の違い、身体能力の違い…。普通にやっていても、身体能力では勝てないと痛感しました」。世界の壁に直面し、勝つことの難しさを感じた。だからこそ、勝利へ、マウンドでも打席でも必死だ。前回9日巨人戦でも「自分の判断」と、ファウルとなったがセーフティーバントを試みた。この日も5回無死二塁で三塁線へセーフティー気味のバント。全力疾走で一塁を走り抜けた。
チームの勝ちにこだわり、周囲の期待に応える勝利をもたらす-。まさにエースだ。1分けを挟み3連敗を喫していたチームを救う入魂投球で、8回7安打無失点。ハーラートップタイの13勝目で、甲子園での連勝を7に伸ばした。登板試合は5月20日以降、聖地でチームは負けを知らない。頼れる右腕が見つめるものは…。藤浪は2文字を繰り返した。
「『優勝』できる位置にいて、いい戦いができるのは幸せ。何としても『優勝』したいので、それをモチベーションにしてやっていきたいですね」
見据えるのはただ1つ。王者の冠だけだ。【宮崎えり子】
▼藤浪が9三振を奪って今季の三振数を201とした。高卒3年目の藤浪は今年21歳。21歳シーズン以下に200奪三振以上は、藤浪と同じ高卒3年目の07年ダルビッシュ(日本ハム=21歳で210個)以来で、セ・リーグでは69年江夏(阪神=21歳で262個)以来、46年ぶり。阪神で21歳以下は、20歳の55年に302個の西村、19歳の67年から225個、401個、262個と3年連続の江夏に次いで3人目になる。



