「スーパー早出」導入だ! 来季のリーグ連覇、さらに悲願の日本一を目指す広島は7日、秋季キャンプの地、宮崎・日南に入った。今キャンプでは野手のレベルアップを目標としてピックアップした選手に通常の早出練習よりもさらに早い「スーパー早出練習」を課す予定。25年ぶり優勝に浮かれることなく、次なる戦いへ準備が始まる。

 カープは浮かれていない。それどころから危機感に包まれてさえいる。「野手のメンバーは大きく変わらないし、投手力に至っては黒田が抜けるわけですから。大変です」。緒方監督がそう言うとおり、連覇への道は並大抵ではない。

 だから手を打つ。この日、夕刻、秋季キャンプが行われる日南市の宿舎に続々と選手が集結した。広島から福岡経由の空路、あるいは九州新幹線を使い、ナインたちが集まってきた。

 今回のキャンプで大きく違うのは「スーパー早出」練習を取り入れる点だ。通常、キャンプの練習は午前10時の開始。若手など課題のある選手がそれよりも早い同9時から始まる早出練習で打撃、あるいは守備を鍛えるのは一般的だ。

 だが今回は、さらにその前に早出の早出、まさに「スーパー早出」練習を行うという。午前7時30分には宿舎を出発する。対象選手もすでに決まっている。潜在能力がありながら伸び悩む堂林、野間、そして今季、定位置を取りかけた安部の3人だ。

 「今年戦ったメンバーが今年と同じ成績を残しても優勝できるとは限らない。他球団も強くなってくるはず。今いる戦力で、同時に新しい戦力。今年2軍で温めていた選手がどれだけ伸びてくれるか。野間、堂林、安部。彼らがどれだけやるか」

 打撃部門を預かる石井コーチは底上げを強調し、話した。この3人は打撃だけが課題ではない。例えば通常の早出練習が守備なら、その前に打つ。通常の早出が打撃でも、打って、さらに打つ。レベルアップへ向けて必死で取り組ませる。

 「今年は2軍でずっと悔しい思いをしてきた。来年に向けてしっかりした形、これならいけるというものをつかまなければいけない。1日1日を大切にして充実したキャンプにしたい」。野間もしっかり話した。来季への戦いは始まっている。【編集委員・高原寿夫】