来年4月に発足する関西独立リーグのドラフトが16日、大阪市内で開かれる。この席で、女子高生の吉田えりさん(16=川崎北高2年)が指名されることが濃厚となり、初の女性プロ野球選手の誕生が確実となった。吉田さんはドラフト対象となる合同トライアウトに参加し、最終選考にまで残っており、ドラフト参加4球団のうち、神戸、大阪は指名する方針を固めている。

 身長155センチと小柄ながら、下がり気味の右横手からゆったりとしたフォームで、80キロ台のナックルを操る。漫画「野球狂の詩」に登場する女性左腕の水原勇気はアンダースローだが、プロ野球選手の夢を追うハートも同じで、スタイルもだぶる。

 吉田さんは今月2~4日に神戸市内で開かれた、同リーグの合同トライアウトに参加。最終テストは約400人から81人まで絞られたが、最後まで残った。最終日の紅白戦、男子相手に1回を無安打、1三振も奪った。トライアウトを視察していた球団関係者は、一様に「男でもあれだけ揺れる球は投げられない」と称賛の声をあげた。

 リーグ関係者によると、中田良弘監督(49)の神戸9クルーズや、大阪ゴールドビリケーンズは、指名確実。中田監督は「(ナックルでほんろうする)男顔負けの度胸にほれた」と話しているという。

 小学生から野球を始めた吉田さんは、神奈川に住んでおり、ドラフトで指名を受ければ、関西圏へ転校することになる。今週初め、リーグ運営スタッフが吉田さんの両親と相談し、すでに家族で意志を統一。父の勇さん(45)は「指名されれば、本人の夢なので応援する。すぐに転校手続きに入る」と話している。

 ◆吉田えり(よしだ・えり)1992年(平成4年)1月17日、神奈川・川崎生まれ。小学2年から野球を始め、中学では野球部で一塁手のレギュラーだった。川崎北高に進学し、硬式野球のクラブチームに所属していたが、今年9月から女性クラブチーム「アサヒトラスト」に入団した。身長155センチ。

 ◆関西独立リーグ

 来年4月発足予定で、関西に球団フランチャイズを置くプロ野球独立リーグ。現在、参入が決まっているのは「大阪(大阪ゴールドビリケーンズ)」「神戸・阪神(神戸9クルーズ)」「明石・姫路播州(明石レッドソルジャーズ)」「和歌山(紀州レンジャーズ)」と「滋賀」の5球団。うち、神戸のオーナーは、サン神戸ウォーターサプライ社の広田和代さん(47)が就任し、女性オーナーとして話題になっている。

 ◆関西独立リーグドラフト会議

 参加するのは、大阪ゴールドビリケーンズ、神戸9クルーズ、明石レッドソルジャーズ、紀州レンジャーズの4球団。合同トライアウトの最終選考者を中心に、各球団がリストアップした選手をウエーバー順に指名していく。ウエーバーの順番は、事前に4球団が抽選で決める。トライアウトの合否発表的な側面もある。