チェンはメジャーでも通用する!

 元中日のエースで米大リーグ・ブレーブスの川上憲伸投手(34)が米大リーグ挑戦を希望している中日チェン投手(24)の成功に太鼓判を押した。23日、名古屋市内で野球教室を開催した川上は今季最も印象に残った選手にチェンを挙げて「日本球界で1番でしょう。チェンが(メジャーで)通用しなければ、だれも通用しない」と絶賛。今オフにもポスティングでメジャー移籍する可能性があるチェンにとって、勇気がみなぎるお墨付きだ。

 メジャーで初のシーズンを経験した川上は日本で2年目への準備を進めている。そんな元エースが今、最も気になる投手がいる。「中日のことは動画で見ていましたが、チェンのレベルアップには驚いた。今、日本球界で1番でしょう」。ブレーブスに移籍した昨季、川上は古巣の戦いぶりをインターネットの動画でチェックしていた。その中で目を見張ったのが後輩チェンの投球だ。川上が在籍した08年までは2軍暮らしも多かったが、今や国内NO・1と認めるまでに成長していた。

 「動画で見てもスピンがきいて伸びていくのがわかった。インパクトとパワーですいすい投げていた」。

 昨季、開幕から先発ローテーションの柱として活躍し、8勝4敗、防御率1・54で最優秀防御率のタイトルを獲得した。球種は主にストレートとスライダー、チェンジアップだが、時に150キロを超えるストレートの威力はすさまじく、打者はわかっていても空振りしてしまう。そして、チェンは昨年12月2日の契約更改の後に「日本でずっと長くやるつもりはない。いつかは(メジャーに)行きたい」とメジャー志向を口にした。球団側も西川球団社長が「残ってもらうのが前提だが、シーズンが終わった時点でチェンがどういう考えでいるか。どうしても行きたいとなればポスティングしかない」とポスティング制度という条件付きで容認するなど今オフにもメジャー移籍する可能性が高くなっている。これに対し、メジャーの先輩である川上はあらためてチェンの実力を称賛し、米国での活躍に太鼓判を押した。

 「あのストレートはメジャーの打者でもとらえられない。球種が少ない?

 問題ない。チェンが通用しなければ、日本の投手はだれも通用しないと思っていい。行ってほしい。今、行かないともったいない」。

 川上自身、02年オフからメジャー願望を抱いていたが、当時は球団にポスティング移籍が認められなかったためFA権取得の08年オフ(33歳)まで待たざる得なかった。その点でチェンは24歳。挑戦できる環境があるなら迷わずに行けというのが先輩としての偽らざる気持ちだった。04年入団のチェンは川上がチームを優勝に導く姿を見て育ってきた。元エースの太鼓判は米挑戦へ向けて何よりも心強いだろう。【鈴木忠平】

 [2010年1月24日10時55分

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