西武が23日、自宅謹慎中の大久保博元・前2軍打撃コーチ(43)に現場復帰させない方針を固めた。球団は、同コーチがルーキー雄星投手(19)に体罰的な指導があったという報告を受けて調査を開始。2軍コーチスタッフに対して若獅子寮で事情聴取を行い、正午からスタートして午後9時すぎまでかかった。寮に立ち寄った工藤にもヒアリング調査が行われ「今日話せることはないよ」と言うにとどめたが、事実解明へ本格的に動きだした。

 関係者の話を総合すると、7月上旬、同コーチが反抗的な態度をとった雄星を呼び出し、注意する際に胸ぐらをつかむなどした。殴ってはいなかったという。前田球団本部長は「耳にしたのは最近です。疑惑のあるコーチが、いま指導するのは適切でないと判断した」と説明した。

 両者は打撃コーチと投手という関係だが、早朝練習(アーリーワーク)を行うメンバーで結成した「アーリー会」で師弟関係にあった。自主参加でも遅刻した場合は「1分1000円」などの罰金が科された。徴収したお金は、メンバー数人で集まる定例の食事会で還元されていたが、10万円を超える支払いが負担になる選手も出てきていた。つらい練習も楽しんでやろうとゲーム感覚で始めたが、これでは本末転倒。選手とコーチ間は一線を引くことを重んじる球団は、罰金制度で選手と外食する同コーチに注意したこともあった。

 この日は打撃コーチ不在で、球宴休み明けの2軍練習が再開された。開始前、選手を集めた前田球団本部長は「戸惑いがあるかもしれないけど、行沢2軍監督の指示に従ってやってほしい」と伝えた。現時点で同コーチが復帰する可能性はなく、後任は近日中に発表予定という。

 [2010年7月24日9時9分

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