巨人とのクライマックス・シリーズ(CS)のファーストステージ第2戦の先発が予定される阪神久保康友投手(30)が12日、アクシデントに見舞われた。甲子園で行われたシート打撃に登板した際、新井貴浩内野手(33)の強烈な投手返しが左すねを直撃。負傷降板した。病院には行かず現時点では軽症の見立てだが、デリケートな場所だけに常川チーフトレーナーは「明日(13日)の状態を見て判断する」と慎重な姿勢。4日後の本番へ向け、思わぬ心配材料が発生してしまった。

 甲子園がその瞬間、凍り付いた。新井の強烈なゴロの投手返しが、久保の左すねを直撃した。久保は尻もちをつくようにひっくり返り、その場にしゃがみ込んだ。青ざめる新井、心配げに走って駆け寄る首脳陣…。緊迫の時間が流れた。だが久保は新井のおんぶを断り、引きつった苦笑で立ち上がった。そして左足を引きずりながら何とか、自力歩行でベンチ裏に消えた。

 「当たった時は痛かった。歩けないです。シーズン絶望です」。久保はブラックジョークで軽症を強調した。だが笑うに笑えない。巨人とのCS第2戦(17日)に先発予定で、本番まであと4日。実戦感覚の確認も兼ね、この日のシート打撃登板で、好仕上げを確認するはずだった。鳥谷を一ゴロ、平野を空振り三振、マートンを遊ゴロと、猛虎自慢の1~3番をピシャリと抑えた矢先。まさかのアクシデントが待っていた。

 病院には行かず、この日はアイシング治療で様子を見ることになった。おおむね軽症の見立てだが、常川チーフトレーナーは今後について「明日(13日)の状態をみて判断したい」と慎重にコメント。患部はデリケートな場所だけに、時間が経過しての内出血や腫れなどを懸念した。当てた新井も「ビックリしたし心配。明日が怖い」と沈痛な表情。心から軽症を願うしかなかった。

 チームトップ、14勝右腕の登板に影響が出るようなら、真弓阪神は緊急事態に陥る。早急な先発ローテの組み直しはもちろんだが、能見、スタンリッジ、メッセンジャー、秋山の4枚看板プラス抜てき組では、戦力ダウンは否めない。巨人、中日相手に右のエース不在では、ベンチやナインに与える安心感も違ってくる。たとえ予定通りに登板できたとしても、今回の負傷による影響はないのか。心配は尽きない。「大丈夫やと思うけど…」。真弓監督の言葉にも思わず強い祈りがこもった。【松井清員】

 [2010年10月13日12時1分

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