ロッテのドラフト6位藤谷周平投手(23=南カリフォルニア大)が5日、正式契約を結び、千葉マリンで入団会見を行った。かつてのエース黒木がつけた背番号54を背負う190センチ右腕は、7歳から米国で生活し日本での野球経験はなし。09年にはメジャーからドラフトで指名されたが、辞退。セ、パ両リーグの違いはドラフト指名後に覚えたという変わり種だ。契約金200万円、年俸450万円と大卒クラスの選手としては異例の“格安”契約となった。これで昨秋のドラフトで指名された全68人と各球団の契約が完了した。

 これぞ、本物の逆輸入選手!?

 ロッテとの契約を終えた藤谷が素直に告白をした。「ドラフトで指名されるまで、セ・リーグとパ・リーグもよく分かっていませんでした。(日本の)選手もWBCに出場した選手ぐらいしか分かりませんでしたからね」。それもそのはず。食品会社に勤務する父親の転勤で7歳で渡米した。そのころは「Jリーグが始まった時期」で、サッカーに夢中だった。一時帰国したことは何度かあるが、背番号54を継承することになった黒木の投球も実際見たことはない。

 異色の経歴の持ち主は、しばらくは大学生兼プロという異例の生活を送る。南カリフォルニア大では社会学部で統計学を学ぶ。卒業時期は6月。卒業課題として、担当教授から日本での統計調査を命じられたという。「日本のどこにどれぐらいの外国人が集まって、どんな仕事をしているのか。それを調べます」。休日を利用して関東各地の市役所などに調査に出向くという。石川球団本部長は「全面的にバックアップしていきたい」と、約束した。

 経歴は異色だが、素材は折り紙付き。190センチから繰り出す直球は最速96マイル(154キロ)。07年にあこがれの野茂英雄氏に会った際に握り方を教わった、落差のあるフォークが決め球で「縦の高低差を生かして勝負するタイプです」。在籍していた北アイオワ大の野球部が解散した09年には、ドラフトでパドレスに指名された。小さなころから、米国でもまれてハートも強い。「日本の野球の文化に慣れるようにやっていきたい。将来的には3ケタ(100勝)が目標です」。話題先行で終わらせるつもりはない。【鈴木良一】

 [2011年1月6日19時4分

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