広島は17日、マツダスタジアム内でスカウト会議を開き、ドラフト1位で投手を指名することを確認した。候補は大阪桐蔭・藤浪晋太郎、花巻東・大谷翔平、亜大・東浜巨、慶大・福谷浩司の4右腕と、東福岡の左腕・森雄大の5投手。松田元オーナー(61)は最終的な判断を野村謙二郎監督(45)に委ねることを示した。

 午前10時から約2時間、話し合いを重ねた。苑田聡彦スカウト部長(67)は「1位は決まっていない。投手になると思う。今年はオーナーも悩むのではないか」と話す。逸材が豊富なため、早期決断をしない可能性も出てきた。

 1位候補で挙がったのは5人の投手だ。夏の甲子園をにぎわせている大阪桐蔭・藤浪、最速160キロの花巻東・大谷、高校と大学で実績を残してきた亜大・東浜が中心。慶大・福谷、東福岡・森もこの3人に近い評価を見せている。5人に関して、5月に行われた同会議からリストが絞り込まれることはなかった。

 9月下旬にもスカウト会議を実施する予定だが、そこで無理に決定することもなさそうだ。そこで松田オーナーが1つの指針を示した。「野村監督の意向と今後の情報収集にかかっている。最後は監督と話し合ってからになるだろう」と説明した。来季続投が決定的な指揮官が1位決定のカギを握ることになりそうだ。

 現在、広島は3位で、4位ヤクルトとクライマックスシリーズ(CS)進出を争っている。先発を中心に投手陣が安定したことで15年ぶりのAクラスを目指せる位置にいる。

 来季へ向けて、足りないものは何か。野村監督からの解答が今後を左右する。たとえば、東浜ら即戦力を獲得できれば先発陣がさらに強化される。一方、藤浪や大谷らを獲得できれば、5年後以降の投手陣プランを練ることになる。

 今後も、藤浪を鞘師スカウトが密着するなど幅広いマークを続けながら、情報収集を続行していく。野村監督は来季へどんなエキスを欲しているのか。熟考する指揮官の一声が、ドラフト戦線の方向性を定めることになる。【中牟田康】

 ◆藤浪晋太郎(ふじなみ・しんたろう)1994年(平6)4月12日、大阪・堺市生まれ。小学1年で野球を始める。大阪桐蔭では2年春から背番号1。今春のセンバツ優勝。197センチ86キロ。右投げ右打ち。

 ◆大谷翔平(おおたに・しょうへい)1994年(平6)7月5日、岩手県水沢市(現奥州市)生まれ。小2で野球を始める。夏の岩手県大会では160キロをマークした。右投げ左打ち。193センチ、86キロ。

 ◆東浜巨(ひがしはま・なお)1990年(平2)6月20日、沖縄県うるま市生まれ。与那城小2年から野球を始め、沖縄尚学3年でセンバツ優勝。亜大では1年春から主戦投手。181センチ、70キロ。右投げ右打ち。

 ◆福谷浩司(ふくたに・こうじ)1991年(平3)1月9日、愛知県生まれ。横須賀(愛知)では甲子園出場経験なし。慶大では東京6大学リーグ最速タイの155キロを記録。183センチ、95キロ。右投げ右打ち。

 ◆森雄大(もり・ゆうだい)1994年(平6)8月19日、福岡市生まれ。小4で野球を始め、東福岡では1年からベンチ入り。好きな選手は西武菊池。184センチ、76キロ。左投げ左打ち。

 ◆2位以下の候補

 中心になるのは即戦力投手と高校生野手。この日は高校生のVTRで指名候補の実力を確認した。名前が挙がったのは、龍谷大平安・高橋大樹外野手、光星学院・北條史也内野手、同・田村龍弘捕手、高岡一・森本龍弥内野手、学法石川・瀬谷謙輔内野手、菰野・辻東倫内野手ら。また地元広島からは盈進・谷中文哉投手の名前が挙がった。