中日山井大介投手(36)にFA移籍の可能性が浮上した。最多勝、最高勝率の2冠を確実にしている右腕は5日、来季に向けてナゴヤ球場で始動。今季取得した国内FA権について白紙を強調した。球団サイドは今月中にも落合GMが残留交渉を行う。13勝右腕が流出となれば来季V奪回を期すチームにも大きな痛手となる。

 シーズン終了から3日で、山井の姿はナゴヤ球場にあった。ほぼ確実にする最多勝、最高勝率のタイトル確定より早く、チームの誰よりも早く来季に向けて始動した。「疲れはない。動ける日は動きますよ」。36歳右腕はもう気持ちを切り替えていた。

 注目されるのは、その来季の「居場所」だ。今年取得した国内FA権について「ドラゴンズでやりたい気持ちはあります。でもまだ話し合ってないし、考えるのはそこから。現状は白紙です。僕からアプローチするものでもないし、球団から話があると思う」と初めて言及した。

 中日には13年間育ててもらった恩義と愛着がある。残留して3年連続V逸の悔しさを晴らしたい思いは強い。そんな熱さも、球団との間に“温度差”があれば話は違ってくる。球団サイドは落合GMが今月中にも残留交渉に乗り出す。山井は「面倒なことはしたくないから、駆け引きはしたくない。どういう評価をしてくれるかですね」と評価を求める。

 来季37歳となるが、体も元気でローテーションの軸を担う自信はある。どんな条件で応えてくれるのか。期待値とかけ離れていれば最悪、チームを去る選択肢も浮上せざるを得ない。中日は2冠右腕がFA流出の危機に陥る。

 阪神が獲得調査を進めるなど、山井は今オフのFA市場の注目株だ。西山球団代表は「全力で引き留める」と明言。今季の推定年俸は6000万円。球団は2年以上の複数年契約を準備する構えだが、展開は波乱含みだ。【松井清員】