挑戦状代わりの豪快スタートだ。4年目で三塁レギュラーを狙う中日高橋周平内野手(21)が沖縄・北谷キャンプの初日から飛ばした。フリー打撃でチーム最多の6発を放ち、居残りでも柵越え40本と大当たり。進化のほどを示した。キャンプ企画「ザ・対決」で追いかける中日のポジション争い。高橋周が昨季のベストナイン、ルナに挑む三塁争いが初日からヒートアップした。

 鋭く飛び出した放物線が、フワッとひと伸びし、右翼の芝生をたたく。典型的な長距離打者の弾道だ。初めて披露した背番号3。高橋周が初日から場内の目をクギ付けにする猛デモで、成長ぶりを見せつけた。

 「感触が少し違うし、詰まったと思ったら打球が伸びたりもした。まだ体も疲れていないし、疲れた状態で投手の球を打つようになったらどうなるかですが、この形を変えるつもりはないです」

 フリー打撃では39スイングでチーム最多の6本塁打。3連発に推定130メートルの場外弾も出た。松井雅と並んだ指名特打では45分間で40発をぶち込んだ。苦労の末、昨秋つかんだ好感触を継続し、自分のものにしつつある。本人も変化、いや確実な進化を感じ取っていた。

 首脳陣の評価はその上をいっている。谷繁兼任監督が「打球の質が違ってきた」と言えば、昨秋も付きっきりだった土井正博特別コーチは「何かつかんだかな。自分のポイントに引きつけて打てるから、よく飛ぶ。こすってもスタンドにいく」と目を細めた。

 21歳とはいえ、高橋周は勝負の年と自覚する。焦点は1つ。三塁のレギュラーを取る。中日の各所で勃発するポジション争いの中でも最も注目される。本命は昨季ベストナインのルナで動かない。若武者はそこをこじ開けようとしている。

 1日、35歳の誕生日を迎えたルナは、貫禄十分にスタートした。まだ太め残りだが、持ち前の広角に打ち分ける打撃は健在。「オフは体を休めた。とにかく一生懸命に体をつくり、スイングを元の感覚に戻すよ」。横綱の風格で高橋周の挑戦を受け止める。

 チャレンジャーが背負うのは、中利夫、立浪和義らミスタードラゴンズの象徴ともいえる背番号3。「自分はやるべきことをやるだけです。ケガをしないように、何とかいいキャンプにしたいです」。3月27日の開幕まで2カ月弱。森野も含めた激烈バトルの先に、意外な結末が待っているかもしれない。【柏原誠】