中日のドラフト4位、石川駿内野手(24=JX-ENEOS)が、剛球右腕・福谷を相手に強打を見せつけた。8日、沖縄・北谷キャンプでフリー打撃に登板した右腕と対戦し、柵越えこそなかったが140キロの速球にしっかり対応。ネット裏の他球団スコアラーもうならせた。評価の高い打力を武器に、二塁のレギュラー荒木に挑戦する。

 1球目のファウルにこだわりが詰まっていた。福谷とはプロでは初対戦。この時期から140キロ超を記録している右腕だが、石川はまるでひるまなかった。

 「今日は良かった部分とそうじゃない部分があった。一番良かったのは1球目。お尻からしっかり投手の方向に入っていって、バットがスカッと抜けた。打球が伴えばもっとよかったんですけど」

 17スイングで安打性5本程度だったが、140キロ超の速球に振り負けず、強い打球を飛ばした。持ち前のリストの強さでライナー性の打球を連発した。

 セ・リーグのスコアラー陣も目を見張った。ヤクルト志田スコアラーは福谷とのマッチアップに注目していた。「あの大きいスイングでどう対応するか興味深かったけど、福谷の速球にも差し込まれていなかった」。巨人樽見スコアラーは「第1クールを見ていたら振りが大きいから(プロの球は)はじけないかと思ったらコンパクトにしっかり振れていた」と警戒した。

 「同じチームでやるのが不思議な感じです」。福谷は同学年。明大時代、短期間しか活躍できなかった石川にとって慶大からドラフト1位でプロ入りした福谷は遠い存在だった。大学での対戦は1度だけ。だが石川は成長を続け、福谷も「アマの時からすごい打者だった。中日がとってくれたらうれしいなと思っていた」と喜んでいる。両者にとって特別な空間だった。

 谷繁兼任監督が「体に力がある。あとは細かい守備の部分」と評価する即戦力。二塁には荒木が陣取るが、強打を引っさげて20年目のベテランにぶつかっていく。【柏原誠】

 ◆石川駿(いしかわ・しゅん)1990年(平2)5月26日、滋賀県生まれ。北大津で2度センバツ出場。明大からJX-ENEOS。13年の都市対抗では3本塁打、7打点で若獅子賞に輝き、優勝に貢献。昨年のアジア大会日本代表。178センチ、82キロ。右投げ右打ち。