誠意感じました!

 ソフトバンク杉内俊哉投手(30)が25日、福岡市内の球団事務所で2度目の契約交渉を行い、前回提示と同じ3億5000万円でサインした。第1回交渉では球団の不誠実な対応に杉内側が激怒し保留。だが、笠井和彦オーナー代行(73)の直接出馬で事態は急転した。誠意を感じた杉内は、前回提示から1000万円の上積みを辞退。気持ちよく判を押した。(金額は推定)

 わだかまりが消えた。やっと気持ち良くサインできた。杉内は前回と同様、酒井辰馬弁護士を代理人として同席させた。球団側が笠井オーナー代行が直接出馬したことで、事態は収拾となった。約90分間の長い交渉で一番感じたのは、オーナー代行の誠意だった。条件では前回から1000万円の上積みがあったが丁重に辞退。前回と同じ5000万円増の3億5000万円でサインした。

 杉内

 前回とまったく違う対応だった。社長(オーナー代行)から「今年もよく頑張ってくれた」と言われたことから交渉が始まった。気持ち良く話せた。すべてに評価してもらい納得している。

 第1回交渉では、小林至取締役(42)が録音機を持ち出したことに杉内側が激怒した。さらに、下交渉の段階で同取締役から放たれた心ない言葉が、事態をこじらせた。酒井弁護士は「具体的には言えない」としながらも「夜も眠れないくらい、言葉は悪いが、見くびられたような内容のことを言われた」と明かした。

 杉内側が最も球団に求めたのは、自分を含め所属する全選手を大切に思って査定する温かい心。上積みを求めたわけではなかった。笠井オーナー代行からは一連の交渉に関する不手際に対して謝罪もあった。そして、何よりうれしかったのは来季順調に行けば取得する国内FA取得に関する慰留への口説き文句だった。

 杉内

 社長から「杉内は絶対に他には行かせない」と言ってもらった。素直にうれしかった。新査定も選手にとって安心できるマイナスにならないようなものだった。

 笠井オーナー代行も「小林君の説明の仕方が稚拙で下手くそだった。言っちゃいけないことを言った。相手の尊厳を傷つけてはいけない」と交渉の不手際を認めた。その上で「彼はだれもが認めるうちのエース。今後もホークスにいてもらわないと困る」と続けた。

 大荒れだったエースの契約交渉もようやく一件落着。この日、雪がちらついた福岡。ホワイトクリスマスに杉内が気持ち良くサインしたことはホークスファンへの最高の贈り物になった。【奈島宏樹】