元WBC世界バンタム級王者辰吉丈一郎(44)の次男、寿以輝(じゅいき、18=大阪帝拳)が24日に受験するプロテストが映画になることが17日、分かった。日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞した阪本順治監督(56)が撮影する。

 阪本監督は、95年に丈一郎の薬師寺保栄戦を中心にした「BOXER

 JOE」を製作した。丈一郎のその後を追うために、当時と同じスタッフで、定期的に撮影を行ってきた。ただ丈一郎は練習を続けているが、セミリタイアの状態となっている。「BOXER

 JOE」の続編として、寿以輝のプロテストをひとつの区切りとする見通し。

 20年近くにわたって同じ一家を追い続ける撮影手法は、映画界でも珍しい。その最終段階として、寿以輝が登場する。関係者は「撮影は、現在も続いています」と話した。

 阪本監督は、89年に元プロボクサーの赤井英和が主演した「どついたるねん」で監督としてデビュー。00年の「顔」で日本アカデミー賞の監督賞など5部門を受賞しており、日本映画界を代表する監督だ。

 注目のプロテストは、24日に大阪帝拳ジムが主催する興行の開場前に行われる。一般非公開で、阪本監督の撮影班が、寿以輝の一挙手一投足を追う。プロテストが映画のワンシーンになるのは異例といえる。

 寿以輝は、10月下旬に東京都内の帝拳ジムへ出向き、プロ相手のスパーリングで果敢に打ち合うなど準備を進めている。偉大な父と同じ道を歩むことについて「プレッシャーはないです。おれはおれなので」と言う。カメラも待ち受けるテストまであと1週間となった。

 ◆辰吉寿以輝(たつよし・じゅいき)1996年(平8)8月3日、大阪・守口市生まれ。幼少期から父丈一郎の手ほどきでボクシングに親しむ。守口第二中卒。家族は父、母、兄。167センチの右ボクサーファイター。

 ◆ボクサーと映画

 邦画では「どついたるねん」が有名。阪本監督はブルーリボン賞作品賞を受賞した。現役ボクサーとしては、日本フェザー級王座に2度挑戦した福田健吾が「ウェルター」(87年)に主演した。昨年12月には亀田大毅が主演した「ヒットマン

 明日への銃声」が公開された。海外ではシルベスター・スタローン主演の「ロッキー5

 最後のドラマ」(90年)に、93年にWBOヘビー級王者となるトミー・モリソンが出演している。