西十両10枚目の安美錦(37=伊勢ケ浜)が、今場所初白星を挙げた。同9枚目の里山(35=尾上)をはりま投げ。中にもぐってこようとした相手のまわしを肩越しに左でつかみ、後方に投げた。
「自分から動いていこうと思った。入りきられる前に動けたのが良かった」。5月の夏場所2日目に左アキレスけんを断裂し、7月の名古屋場所は全休。ケガの回復は十分でなく、初日は黒星発進だった。「1つずつ、何ができるか探しながらやっていくしかない」と、現状の中から勝機を見つけ出した。
ともにベテランながら、対戦は初めて。「1人の親友だけど、土俵に上がったら、余計に厳しい気持ちでいけた。まだ10年早いね。お前と当たったら、張り倒して反則負けしてやると言っていたんだ」と笑い飛ばした。
土俵入りや、取組前、場内から大きな声援を浴びた。「宇良といい勝負じゃない? 出てくるだけで声援をもらうのは申し訳ない。やめる間際の力士。相撲で応援してもらわなきゃ。どんどん元気出していかないとね」。コメントに、いつもの切れ味が戻ってきた。
「勝てたのがいい薬になればいい。1勝は1勝だけど、ここまで来る過程が大事だった。家族と一緒に取ったような白星。ここまで来るのは長かった」。病院への送り迎え、食事の工夫など、精神的支えにもなってくれた妻絵莉さんらにも感謝した。
ケガの状態は万全でなく、体重も落ちたまま。苦しい土俵は、これからも続く。「やりゃあ、なんとかなる。なんとかなるんだよ。ここからだよね。ここから勝っていかないと」。はりま投げは、19年前の初土俵以来、785勝目(現役2位)にして初の決まり手。37歳、最年長関取の明日には、まだまだ可能性が広がっている。

