大腸がんで主演舞台を降板した俳優今井雅之(54)が30日、東京・新国立劇場で行われた「THE WINDS OF GOD」(5月1~5日=新国立劇場)の公開稽古前に会見し、末期がんでステージ4と明かした。

 「今の声が精いっぱい。僕のプライドで公演ではマイクなしでやってきたが、今は無理。ドクターストップ、プラス自分の判断で降ろさせてくれと言った。本当にすいません、病には勝てなかった…」

 今井は昨秋に体調を崩し、病院で「風邪」と診断された。しかし、胃の痛みが治まらず、体調も2カ月近く戻らず、別の病院で精密検査したところ、大腸に複数の腫瘍が見つかった。11月に20センチほど腹部を切開する緊急手術を受けたが、医師から「クリスマスまで持つか」と宣告されたという。今年2月に舞台の会見をした時は腸閉塞(へいそく)の手術をしたこと、体重は20キロやせたことを明かしたが、4月21日になって病名が「大腸がん」であると告白し、舞台からの降板を発表した。

 「役者が舞台を降りるのはつらい。生きるのがつらいし、悔しい」と涙をみせた。現在は抗がん剤治療を受けながら、腕立て伏せなどの筋力を付けるリハビリをしている。「大腸がんはストレスが原因と言われた。夜も眠られない状態が続いている」。看病する妻には「浮気できるくらい元気になってねと言われた」と涙を流した。

 舞台は重松聡志が代役を務めるが、今井は体調をみながら公演に同行し、舞台挨拶を行うという。今回は東京公演と札幌、名古屋、大阪などの地方公演を含めて15公演を予定していたが、すでに名古屋など5公演の中止が決まっている。「お金を返せという声もあった。おれの魂を受け継いだ全員がやってくれている。すばらしい舞台に仕上がった。舞台には復帰したい」と強い口調で話した。