森山未来(25)が長塚圭史演出でポーランド演劇の巨匠ムロジェックの世界的な傑作舞台「タンゴ」(11月5~24日、東京・渋谷シアターコクーン)に主演することが4日、分かった。「タンゴ」は65年初演時に激しい賛否が起こるなど、世界を代表する作品。親世代が破壊した秩序の再建を求め、家族を相手に革命に決起する青年アルトゥルを主人公にシニカルな笑いと狂気に彩られた舞台で、文学座などで上演された。

 今回は約40年ぶり上演で、森山は「言いたいことをストレートに言うことが舞台で少なくなる中、『何もかも許されて、自由なばっかりに、ここじゃもうにっちもさっちもいかなくなっている』のセリフなどストレートに表現したものなのでやりがいがある。自分の中にあるメッセージとかぶる部分もあり、主人公に感情移入して挑みたい」。

 人気演出家の長塚と初タッグ。森山は「英国から帰ってきて作風も変わった今のタイミングで一緒にやりたかった」と語る。長塚も「森山さんに繊細さと同時に導火線から体いっぱい出ているような怒りのパワーを感じる」と期待する。

 森山は「血と婚礼」「変身」など多彩な舞台を続くが「自分を発散する場所がほしい。まだ俳優は楽しいとは言えない」。共演は吉田鋼太郎、秋山菜津子、辻萬長ら実力派ぞろい。森山は「これだけできる方とやれるのは楽しみ。そのエネルギーは無駄にならないと思う」と力強く話した。

 [2010年7月5日7時56分

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