<第23回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞>

 第23回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞(日刊スポーツ新聞社主催、石原裕次郎記念館協賛)が1日、決定した。授賞式は28日に東京・紀尾井町のホテルニューオータニで行われる。

 俳優高良健吾(23)が、2年ぶりの石原裕次郎新人賞に選ばれた。

 高良の出演映画が常に上映されているような1年だった。今年の公開作品は初主演映画「おにいちゃんのハナビ」など7本。同映画では難病の妹役の谷村美月と共演し、引きこもりから再生する兄を演じるなど、心に闇を持つ難しい役柄を数多く任された。

 「『自分の演技がそんなにいいかなあ』と思う時もあります。最近は重い役が多くて、精いっぱいでした」。「ソラニン」では音楽の夢を捨てきれないバンドマン、「ボックス!」ではボクシングを始める気弱な優等生、「ケンタとジュンとカヨちゃんの国」では人生を選べずに生きてきた施設育ちの役。それぞれ宮崎あおい、市原隼人、松田翔太らとの共演で高い評価を得た。

 07年「M」の広木隆一監督のアドバイスが、支えになっている。「『健吾の18年間が必要で、お前を選んだんだから、お前がやることは正解だ』と言われた。自分の演技が正しいと納得できて、カメラの前に立つ覚悟ができた」。08年「蛇にピアス」では、顔に15個のピアスをした青年を演じ、一気に知名度を上げた。「今まで避けていたような役に挑戦できたので、大きな意味があった」と振り返った。

 俳優の個人賞は3度目で、今回は裕次郎さんの冠が付いた。「亡くなった後も語り継がれているので、人間的な魅力も卓越した方というイメージです。自分がやってきたことへのごほうびをいただいて、うれしいです」。前々回受賞の松田から表彰盾をもらうことについては「仲がいいので、かなりうれしいです」と目を輝かせた。【柴田寛人】

 [2010年12月2日8時51分

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