俳優阿部寛(49)主演のTBS系ドラマ「新参者」の新作が、来年の1月に2時間半のスペシャルドラマとして放送されることが20日、分かった。「眠りの森~新参者スペシャル」(仮)と題し、阿部演じる刑事加賀恭一郎が若い年齢設定で、柄本明(64)演じるベテラン刑事とタッグを組みバレエ団で起きた殺人事件に挑む。登場するバレエ団については、ダンサー熊川哲也(41)率いるKバレエカンパニーが振り付けから美術まで全て監修する。

 阿部が当たり役の加賀恭一郎としても、俳優としても新境地に挑んだ。11年5月から同7月まで撮影が行われた映画「麒麟の翼」以来約2年ぶりに演じる加賀は、警視庁日本橋署ではなく本庁捜査1課時代の若き加賀だ。10年4月の連続ドラマ「新参者」では39歳に設定。映画でもそれが踏襲されていたが、新作は明確な年齢設定はないものの、より若さを求められる。

 実年齢では年を重ねているが、既に始まっている撮影での役作りについて、阿部は笑いながら明かした。

 「無理のないところで少し若めにやらせていただいています。10歳くらい若返るのは許してください」

 これまで同シリーズで、加賀はいとこで26歳と若い捜査1課刑事・松宮修平(溝端淳平)とコンビを組んできた。今回は柄本演じるベテラン刑事太田大作と組み、バレエ団で起きた連続殺人事件に挑む。見どころは、若き加賀が見せる人間味ある姿という。自分と元刑事の父隆正(山崎努)との確執と似たものを太田に感じ自らを見詰め直す姿で、阿部自身も手応えを感じている。

 「加賀の若さ故の乱れを表現できた。柄本さんに甘えられるところもたくさんあり、いい意味の裏切りもされ、大先輩の仕事の仕方を拝見できた。加賀が太田を見詰める視線と似ていたかもしれない。違う楽しみのある作品になった」

 描かれてこなかった加賀のほのかな恋心も描かれるといい、「異性に心動く部分が見え、照れくさかったけど、加賀のなぞめいた部分が見えてくるのが楽しかった」と笑みを浮かべた。

 人気シリーズ最新作を盛り上げるべく、強力バックアップ態勢も築かれた。劇中で描かれる「白鳥の湖」「眠りの森の美女」の振り付け、音楽、舞台美術、衣装まですべて熊川が率いるKバレエカンパニーが監修し、ダンサーの益子倭、宮尾俊太郎もダンサー役で出演。阿部は同カンパニーの東京文化会館公演を観賞しており、「撮影でも何日も前からけいこし、挑戦しようという思いに感動しました」と感激していた。【村上幸将】

 ◆「新参者」

 「加賀恭一郎シリーズ」第8作として09年9月発刊の同名短編集を原作に、TBSがドラマ化。同系で10年4月18日から6月20日まで全10話が放送された。初回視聴率21%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)、期間平均視聴率14・9%を記録。11年1月3日には、06年7月発刊の第7作をドラマ化した「新春ドラマ特別企画

 赤い指」を同系で放送し、平均視聴率15・4%。12年1月28日には11年3月発刊の第9作「麒麟の翼」を映画化し、興行収入16億8000万円を記録。なお、「眠りの森」は、同シリーズの第2作として92年に刊行され、山下真司主演で93年にテレビ朝日系でドラマ化されている。