田知本遥(26=ALSOK)がジュリ・アルベアル(30=コロンビア)に一本勝ちし、ノーシードから金メダルを獲得した。日本女子では今大会初の金メダル。田知本は12年ロンドン五輪では試合中のケガもあり7位に終わっていたが、雪辱を果たした。

 開始57秒で消極的姿勢として指導を受けたが、そこから得意の大外刈りなどで攻めに出た。2分19秒には相手の強引な背負い投げを返して有効を奪うと、そのまま横四方固めで抑え込み、見事な一本勝ちを奪った。

 試合後はホッとした表情だった。「(押さえ込んだときは)もう絶対離さないと思いましたし、秒数は見えていなかったけど、あと何秒と思って耐えました。(ロンドンの雪辱は)果たせたと思います。まだ実感がないんですけど終わったなという最高の気持ちで終われて、本当に言葉にできないくらいうれしいです。メダルが確定して安心しちゃいけないという気持ちと、この最高の舞台で戦えるというのは幸せだなと思って、自分の柔道を全部出し切ろうと思いました。本当に苦しかったし、柔道をやめたいとも思ったし、今日のためにあったと思います」と振り返った。

 表彰式では白い歯も見せた。メダルを受け取ると手に取ってじっと見つめた。畳を降りた後も笑顔で場内を回った。ようやく手にした金メダルには「ずっと欲しかったものが、今、手元にあることが信じられないです。手ぶらで日本に帰るつらさを知っているので、何が何でもという気持ちがありました。(4年間のつらさが)こういう形で報われ最高です」と静かに喜びを噛みしめた。