【ソウル=19日】日本代表アルベルト・ザッケローニ監督(60)がFW柿谷曜一朗(23=C大阪)の順応性を試す。今大会は国内組だけで臨むが、ザッケローニ監督は、所属クラブが同じチームの選手を、セット起用しない方針。日本のベースとなる4-2-3-1のシステムに慣れさせるため、初戦の中国戦で柿谷を1トップで即実戦テストをし、適応能力を見極める。

 ザッケローニ監督がC大阪トリオを分解し、FW柿谷の順応性を試す。明日21日の中国戦会場となるソウルW杯スタジアムで会見し、互いの特徴が分かっている所属クラブが同じ選手でも、同一試合で併用せず、バラバラで起用することで選手の順応性を見極めることを明かした。

 「他のチームは、同じパートに同じクラブの選手を多くそろえるところもあるが、そのパートだけ常に同じクラブでやっているメンバーがいるわけではないので、それはできない。チームのやり方に慣れてほしい」

 柿谷はロンドン五輪でボランチを務めたMF山口、扇原コンビとともにC大阪から3人で代表入り。ボランチの2人は柿谷の特徴を最も理解しているだけに、中盤の底から前線へ、柿谷の欲しがるパスを供給することができるが、あえて3人を分け、ザックジャパン内でのルールを守りながら、いかに自身の特徴を代表でも生かすことができるのかを見極める。

 今大会のメンバーは国内組だけで構成されており、C大阪以外にも広島から4人、東京から4人、浦和から3人が選ばれている。だが、この日の練習では所属チームは関係なく2つに分け、ザック流にこだわりを見せた。

 この日の練習で1トップとトップ下を務めた柿谷は「(代表で)今までやっている攻め方がいいと思うし、いい選手がそろっているので、ほかのチームの選手と組んだほうが絶対にいいと思う」と言った。代表初日は「緊張だけでした」と苦笑いも、練習前のミーティングでは「何も聞き逃してはいけない」と、耳を澄まして代表でのルールを頭の中にたたき込んだ。

 トンボが飛び交うソウル郊外の練習場で始まった日本代表合宿。初戦の中国戦まで準備期間はわずか2日だが、柿谷は1トップでの先発が濃厚。「(C大阪と同じ)今やっている1トップのほうがいい。(ボールを)受けることが多いので、受け渡しをしっかりしたい。得点に絡むプレーをしたい」。思い切りの良さを生かし、ザックジャパンへ生き残りを目指す。