浦和のフォルカー・フィンケ監督(60)が、14日のホーム開幕東京戦(埼玉)へ向けて「緊急改造」に踏み切った。13日、さいたま市内のグラウンドで紅白戦を行い、ボランチのMF細貝萌(22)を左サイドバック(SB)へ、攻撃的MF山田暢久(33)を右SBにコンバートする新布陣をテスト。試合前日に最終ラインに手を加える異例の采配で、本拠地初陣での必勝を期した。

 選手たちにとっても、青天のへきれきの緊急改造だった。フィンケ監督はこの日の紅白戦直前に細貝と山田暢を招き、初めて自身の考えを伝えた。鹿島戦で右SBを務めた細貝を平川に代えて逆サイドへ、本来はトップ下やサイドハーフの山田暢を右SBへ。「君たちの意見を聞きたい」とピッチ脇での話し合いの末に、コンバートを決めた。

 7日のJ開幕鹿島戦で0-2完敗。いずれも、浦和がセットプレーの得点チャンスを得ながら決めきれず、逆にカウンター攻撃を食らって失点を重ねた。フィンケ監督は戦術的な理由について明言を避けつつ「所属選手をうまく配置することが大事。細貝はボランチだが、守備はどこのポジションでもできる。守備的な布陣ではSBに配置する」と話した。対する東京の両SBは、国内屈指の脚力と対人勝負の強さを誇る長友と徳永。サイドの攻防を想定して「目には目を」の配置転換とみられる。

 07年7月の親善試合マンチェスターU戦以来、公式戦では初めて左SBを任される細貝は「監督は僕たちにとって少しでもプラスになるよう考えてくれている。しっかり(プレーの)イメージを持って臨みたい」と気を引き締めた。山田暢にとっても、ジーコ監督が率いた日本代表に選出れた04年以来、遠ざかっていたポジションだ。

 前日12日の非公開練習でも試さず、しかも戦術の根幹となる最終ラインを試合前日になって突貫工事するのはリスクが大きい。それでも「成功のためならすべてのことをする」のがフィンケ監督の信条。一戦必勝の態勢でつかむ本拠地での今季初勝利を、V奪回への足がかりにする。【山下健二郎】