<J1:仙台3-0磐田>◇第30節◇14日◇ユアスタ

 仙台がJ1残留に王手をかけた。ナビスコ杯王者の磐田に3-0で完勝。前半35分にFW中原貴之(25)が先制し、DF鎌田、途中出場のFW中島がJ1初ゴールで続いた。この日、新潟と引き分けた降格圏16位の神戸とは、残り4試合で勝ち点7差に。次節、仙台が勝って神戸が負ければ残留が確定する。

 屈辱のふちから、はい上がった。降格圏16位の神戸に完敗した前節から、先発を4人チェンジ。負傷以外では今季最多。手倉森監督が残留争いの佳境で勝負に出た。これがはまる。最年長35歳のベテラン永井の18戦ぶりの先発起用で攻撃にリズムが生まれ、ほかの3人がゴールに結実させた。前半35分、右CKのはね返りを元磐田のMF太田がクロス。これにDF渡辺が頭で合わせ、GK川口がはじき出したところに中原が泥くさく、右足を伸ばした。

 9試合ぶりの今季4点目を奪った中原が「試合に出られず、長く点も取れなかった悔しさを晴らしたかった」と言えば、ピッチを縦横無尽に切り裂いた太田も「こういうサッカーをするために僕は仙台に来た」と納得の表情で振り返る。新メンバーが決勝点を生み出すと、不動の先発組も奮い立った。MF梁のCKから鎌田が21戦ぶりの今季2点目を奪う。さらに負傷から復帰したFW中島が追加する最高の循環が生まれた。

 課題を克服して迎えた。残留への執念、球際で負けた神戸戦の反省を生かし、激しい対人練習を繰り返した。「キレイに戦うな。J1に残る気持ちをピッチへ注げ」と送り出され、心身ともに最高の状態だった。

 采配ズバリの手倉森監督にとっても、絶対に負けられない戦いだった。今月7日、亡き父雄一郎さん(享年70)の命日(10日)を前に青森県五戸町へ。三回忌で墓前に勝利を誓った後の12日は、最愛の妻真澄さんの誕生日。そして、この日は浩ヘッドコーチとともに43歳の誕生日だった。この試合には母朝子さん(69)も招き、後援会も来た。勝って笑う以外、なかった。

 16位神戸が引き分けたため、J1残留に王手をかけた。次節20日、仙台が清水に勝ち、神戸が鹿島に敗れれば確定する。だが、手倉森監督は「これで(10位の)新潟も射程圏内。我々には力がある」と上を向いた。5月以来約半年ぶりに山形を抜き返して12位に浮上。今の仙台には、かつて遠くに見えた残留も通過点にする勢いがある。【木下淳】