日本サッカー協会は14日、11日の浦和対鹿島戦(埼玉ス)で起きた得点シーンで、誤審を認めながらも、ジャッジした審判員への処分なしの裁定を下した。問題の場面は1-1の後半33分。浦和FW興梠の得点がオフサイドだったが、竹田明弘副審からオフサイドの旗は揚がらず、佐藤隆治主審が得点を認めた。会見した日本協会の上川徹審判委員長は「誤った判断ではある。誤審という言い方はできる」と説明。しかし「ミスはしたが、ペナルティーは科しません」と口頭での注意にとどめた。

 鹿島の一部選手が、ゴール直後に判定についての説明を求めたところ、同主審から「副審が『興梠にボールがふれてないからオフサイドではない』と言ってるから」と説明された。だが上川委員長は「主審に確認した。試合中に説明した事実はないと報告された。その言葉を信じるし、今後、選手に調査することはない」と審判を擁護。さらに「問題はスタジアムですぐVTRを流したこと。混乱を招く可能性がある場合、それを自粛する決まりがある」と論点をすり替えた。

 この一件で、日本協会が昨年から試験的に導入している審判の無線機導入が早まる可能性が出てきた。上川審判委員長は「審判同士のコミュニケーションがうまくいっていれば防げるミスだった」とし、無線機導入を急ぐ構えをみせた。【盧載鎭】