<J1:名古屋1-2浦和>◇第7節◇12日◇豊田ス

 日本代表候補合宿(7~9日、千葉県内)に参加したストライカーが、W杯代表に向けて猛アピールした。浦和FW原口元気(22)は後半19分、得意のドリブルでペナルティーエリアに進入して同点ゴールを挙げて今季初の連勝に貢献。5月12日のW杯メンバー発表まであと1カ月だ。

 原口にはゴールへの道が見えていた。左サイドでMF宇賀神からのパスを受けた後半19分。名古屋DFに囲まれても絶対の自信があった。DFの間をぬうようにドリブルで切れ込んで3人をかわす。さらに2人が足を投げ出してきたところを冷静にゴール右へと流し込んだ。強引さを冷静さで同点ゴールを呼び込み、「あれは一番得意な形。パスをもらった瞬間、シュートまでいけると思っていた。あそこなら敵がいても、いないのと同じような感じ」。得意の“原口ゾーン”なら、外す気はしなかった。

 ちょうど5年前の09年4月12日。09年シーズン第5節でJ1初ゴールを挙げたのが、同じ豊田スタジアムでの名古屋戦だった。ゴールの形は違うが、MFポンテ、DF闘莉王らから祝福を受けた。背も伸び、体に幅も出た。経験値も高くなった。この日は敵になった闘莉王の眼前で成長した姿を見せつけた。「予感はしていた。前半もゴールがあったけど、ハンドで取り消された。いい形で決められた」とわずかに笑みを浮かべた。

 ブラジルW杯へのメンバー発表までちょうど1カ月。思い出の地で結果を出し、アピールした。後半には積極的にDFラインの裏を狙い、守備面では途中出場のルーキー左MF関根を助けに奔走。最後まで運動量も落ちなかった。「結果を残すことがアピールになるし、それは出せて良かった。でもまだまだ試合は続くので」と次へ目を向けた。

 代表候補合宿では、ドリブルという持ち味をアピールするだけではなく、中盤のサイドやトップ下に入って練習し、ザッケローニ監督から指導を受けた。合宿前には「本大会はこのメンバーの中から1人か2人?」と話していた。ブラジル行きが狭き門なのは分かっている。それでも可能性は捨てない。残り1カ月。扉をたたき続けた先に、夢の舞台が待っている。【高橋悟史】