<陸上:ロンドン・マラソン>◇17日◇ロンドン

 1時間11分台半ばで折り返すペースに、果敢についていった。スキー距離からマラソンに転じた異色選手の野尻あずさ(第一生命)は後半にも持久力を発揮し、初の世界選手権代表入りに名乗りを上げた。

 「きついレースになると思うけど、そこを抜けないと先はない」との強い決意で臨んだ。赤羽有紀子ら日本選手が集まった第2集団の先頭で引っ張る場面も。30キロ付近から遅れたが、終盤に藤永を抜き返し、自己記録を3分43秒も短縮した。国内選考会では代表入りが自動的に決まる基準タイムだった2時間26分を切る好走だった。

 スキー距離では、日大時代に全日本学生選手権で優勝した経歴を持つ。その後、第一生命の山下佐知子監督(46)から声を掛けられ、陸上長距離に転向。山下監督は「フォームは粗削りだが気持ちの強さがある」と評価する。

 2月にはクライストチャーチでニュージーランド地震に遭い、合宿を切り上げた。東日本大震災では出場予定の名古屋国際が中止になった。困難を乗り越えた小柄な28歳の野尻の前に、世界への道が広がった。