2016年夏季五輪開催地に決まったリオデジャネイロが5日(日本時間6日)、落選した東京の石原慎太郎都知事(77)の発言が不適切だ、などとして、批判する声明を発表した。石原氏のどの発言を問題視しているかは明らかになっていないが、6日(同7日)に国際オリンピック委員会(IOC)にも正式に通知するという。石原氏は、IOC総会が行われたコペンハーゲンから帰国した4日、敗因について「目に見えない政治的な動きがあった」などと語っていた。

 石原節に、リオがかみついた。リオデジャネイロ招致委員会のマイク・リー顧問は「IOCの手に委ねることになるが、彼(石原氏)は謝罪すべきだと思う」と6日、語った。ガゼッタプレスなどのブラジルメディアは、石原氏が敗因について「政治的ゲームの結果」との趣旨の発言をしたとし、リオ招致委員会は声明で「不適切かつ上品さにかける発言だ」と抗議していると報じた。

 リオ招致委員会の声明は、石原氏のどの発言について問題視しているか明記していない。しかし、ブラジルのグローボ・エスポルチ紙電子版などは、リオ招致委員会の声明の背景として、石原氏が「東京のプレゼンテーションは最高だったが、選考プロセスに目に見えない動きがあった」との趣旨の内容の発言をしていると紹介。4日にコペンハーゲンから帰国した石原氏が、都庁で行った帰国会見で「目に見えない政治的な動きがある。昔の自民党総裁選のようなもの」などとした発言を指しているとみられる。この時の発言は、AP通信なども英文で、「石原氏が、舞台裏の取引があったため、招致に失敗したと非難した」などと報じていた。

 また、ブラジルの各メディアは、石原氏が4日の会見で「ブラジルの(ルラ)大統領が来て、聞くところ、かなり思い切った約束をアフリカの諸君としたようだ」とした発言や、「サルコジ(仏大統領)がブラジルに行って『フランスの戦闘機を買ってくれるならブラジルを支持する』とか」とした発言も紹介。リオ招致委員会のリー顧問は、「リオは公式でクリーンなレースをして勝った。(マドリードとの決選投票は)66票対32票で勝ち、最高の招致だったことは明白だ。ブラジルは誇り高く、大きな自尊心を持った強い国だ。ブラジルを侮辱したことになる」と批判した。

 東京都の招致本部は、リオ招致委員会の声明について「報道では知っているが、どの発言についての批判なのかなど、内容が確認できない。情報を集めたい」としている。IOCの猪谷千春副会長は「僕も言いたいことはいろいろあるが、ぐっとこらえている。そうしないと次に(招致に)立つ時に影響する。ここはグッド・ルーザー(潔い敗者)にならないといけない」と話した。