<大相撲九州場所>◇10日目◇24日◇福岡国際センター
横綱朝青龍(29=高砂)は、もろ差しになると中央付近で千代大海をつり上げた。普段なら豪快に土俵へとたたきつけるところだが、そのまま3歩進んで土俵外へ運び、小さくなった大関の体をそっと下ろした。かつて目標にした先輩への朝青龍なりの最大限の礼儀だった。
取組後は支度部屋で「体、軽いよな…」とさみしそうに言った。「自分が相撲界に入った時(99年初場所)に(千代大海は)関脇。そこで優勝して大関になったんだよ」。組み技ばかりのモンゴル相撲から角界入りして、目の当たりにしたのが同門千代大海の強烈な突き押し。「最初に基本にしてたもん」。番付が逆転した今でも、尊敬の念は変わらない。
皮肉にも自分が引導を渡すことになったが「勝負だからね」。それでも「関脇で頑張ってほしい。(大関在位は)何年?
11年か。やっぱり体がついていかないし、けがもあるだろうから」と気遣いを見せた。自身は17度目となる初日からの10連勝。過去16度はすべて、優勝している。だが千代大海に遠慮してか、この日は同じく全勝を守った横綱白鵬との優勝争いについては語ろうとしなかった。

