「変えたソフトバンク」が「変えられなかった西武」を破り、日本シリーズ進出を決めた。パ・リーグCSファイナルステージを全戦視察した里崎智也氏(42=日刊スポーツ評論家)が両チームの戦いを総括。ロッテ時代の10年にリーグ3位から日本一という「下克上」を達成した経験から、広島-ソフトバンクに決まった日本シリーズの展望をどこよりも早く語った。

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リーグ2位、3位球団は、シーズンで負けているから「何かを変えなくては」と選手起用や戦い方を変えやすい。一方で1位球団はその形で1年間勝ってきたのだから、信じてきた戦い方を変えにくい。それが両チームの差になった。

ソフトバンクは短期決戦のために各選手の調子を見極め、適材適所で起用した。先発だった武田、大竹を中継ぎに回し、第2戦で中継ぎで好投した高橋礼を第5戦に先発させた。この日は千賀もブルペンで待機。不調の松田宣をシーズン中にもなかった3試合連続でスタメンから外し、遊撃手は好調な西田と高田を併用。この日は前日2安打2打点と活躍した内川を外し、西武ウルフと相性がいい長谷川勇を先発起用。臨機応変な短期決戦仕様の戦いがはまった。

一方の西武は、不調だった秋山、中村が最終戦になってようやくエンジンがかかった。シーズン中ならまだ1勝4敗で取り返せる時間があるが、これが短期決戦の怖さ。リーグワーストのチーム防御率を強力打線で補って優勝したが、5試合44失点と打線がカバーしきれないほど投壊した。

ソフトバンクにとっては、レギュラーシーズン1位だった04年のプレーオフで2位西武に敗れたリベンジを果たした。過去の統計上はソフトバンクが日本一になる可能性は100%。昨年までパ・リーグの1位以外が日本シリーズに進出した場合は、3度すべて日本一になっている。

日本シリーズでは、広島も戦い方を変えないだろう。先発ローテーションは大瀬良、ジョンソンと続き、野手は巨人とのファイナルステージ第1戦と同じオーダーだと思う。ソフトバンクは、ローテーションもどうなるか分からない。ファーストステージ初戦を任されたミランダは本調子ではなく、19日に先発した千賀も初戦に投げられる。野手は松田宣を先発から外す可能性があり、セの本拠地ではDH制がなくデスパイネの起用法も流動的。「左翼デスパイネ、一塁中村晃」または「左翼中村晃、一塁内川」など選択肢がある。「変えない広島」と「変えるソフトバンク」の戦いになる。(日刊スポーツ評論家)