ソフトバンクが、4年ぶりのリーグ優勝を決めた。日刊スポーツ評論家の浜名千広氏(54)はソフトバンクの今季の戦いぶりを自身の視点で分析した。チームに「ピリピリ感」をもたらした小久保裕紀監督(52)のマネジメント&コミュニケーション術にもスポットを当てた。

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ソフトバンクの「意識の高さ」が他球団を圧倒していたシーズンだった。投打を含めて1つのプレーに対する重みや、球際の強さ…。V奪回へ向けた小久保監督の「厳しさ」も、チームにしっかりと浸透したように思う。4年ぶりV奪回を果たしたホークスの戦いぶりを「投手陣」「野手陣」に分けて振り返ってみたい。

投手陣 開幕前は不安視されていた先発陣だが、やはり開幕投手を務め、先発ローテをけん引した有原の存在は大きい。開幕から交流戦まで6連戦が2度という日程的にも恵まれたが、有原はしっかりと先発陣の柱として機能。球宴前までに9勝を挙げた。不調などでローテを飛ばすこもなく先発マウンドを守り続けた。「柱」がしっかりすれば、他の先発投手も組み込みやすい。さらに印象的だったのは5月28日の巨人戦(東京ドーム)、7月16日のロッテ戦(みずほペイペイドーム)に勝利。いずれもチームの連敗を3で止めた。今季から先発転向したモイネロ、大津も期待以上の活躍だった。後半戦からモイネロが「火曜日の男」として回転。週アタマとなる火曜日の防御率もよかった。

もちろん、ブルペン陣の奮闘も見逃せない。守護神オスナの離脱はあったとはいえ、やはり今年もブルペン陣は強かった。オスナ不在は松本裕がカバーしたし、松本裕が抜けても杉山、ヘルナンデスの2人がしっかりカバーした。勝ちパターンで踏ん張っていた大学(東北福祉大)の後輩津森はどうしたんや、という思い(笑い)はあるが、離脱者が出てもしっかりカバーする分厚さがあった。

リーグトップの防御率に加え、攻撃面でも層の厚さは他球団を圧倒した。

野手編 柳田、山川、近藤の新クリーンアップで快調なスタートを切った。6月に入っていきなり柳田が長期離脱を余儀なくされたが、新たに3番に入った栗原がしっかり穴を埋めた。6番には3年目の正木が奮闘。ここ数年の課題だった「1番打者」も開幕から周東がはまった。攻守にチームリーダーの自覚を見せたのは2番今宮だろう。序盤にバントのない野球を展開した小久保監督の意向をしっかり果たした。盗塁のある周東の次の打席はあらゆる攻撃が想定される。それにしっかり応え、打撃の勝負強さも増した。打撃陣では一番きつい役回りだったのではないだろうか。

小久保監督は開幕メンバーに川村、仲田、緒方の「育成3人組」を抜てきした。レギュラー陣に目を向けるだけでなく、各ポジションでのサブ的存在を作ったことも大きい。もちろん、そこにはチーム内の「競争意識」を助長させる狙いもあったのだろう。スーパーサブとしての川瀬も粘り強い打撃に好守も見せ、さらに成長した。オリックスに3連覇を許した間、チームに「厳しさ」が足りなかったようにも感じていた。選手たちとコミュニケーションを取りながら、一線を画して「ピリピリ感」を創出した小久保監督の手腕はさすがだった。(日刊スポーツ評論家)

ソフトバンク対ロッテ 完封勝利を飾った有原を出迎える小久保監督(2024年8月16日)
ソフトバンク対ロッテ 完封勝利を飾った有原を出迎える小久保監督(2024年8月16日)
ソフトバンク対オリックス オリックスに勝利し今宮(手前)を出迎える小久保監督(2024年7月28日)
ソフトバンク対オリックス オリックスに勝利し今宮(手前)を出迎える小久保監督(2024年7月28日)
オリックス対ソフトバンク 4年振りリーグ優勝を飾りナインから胴上げされるソフトバンク小久保監督(撮影・和賀正仁)
オリックス対ソフトバンク 4年振りリーグ優勝を飾りナインから胴上げされるソフトバンク小久保監督(撮影・和賀正仁)