先日の甲子園での阪神-ヤクルト戦。三塁側ベンチをのぞくと、ノックを打っていた河田外野守備走塁コーチが汗をぬぐって言った。「甲子園は疲れるんだよな。ライトから先に打つと、余計ダメなんだよ」。なんでも右翼方向へのノックは特に浜風の影響をもろに受けるため、低く鋭い打球を打つには力がいるという。まずは浜風の影響を受けにくい左翼からノックを始めないと、体調や調子を錯覚してしまうこともあるという。

「久しぶりですね! 元気ですか?」。背後から素朴に笑ったのは山田哲。3割30本30盗塁達成を間近に控えても、まったく偉ぶらない。そんな山田哲も、甲子園では今季打率2割7厘、1本塁打にとどまる。トリプルスリー男でも、甲子園では簡単には打たせてもらえない。他にもDeNA筒香が8試合で打率1割6分1厘で本塁打はない。阪神投手陣の力が際立つが、やはり浜風も相当な影響を与えているのだろう。

阪神が甲子園で放った本塁打は7日現在、47試合で13本。福留が5本、糸井が4本で、以下、上本、糸原、梅野、中谷が1本ずつ。東京ドームでは12試合で13発だから、やはり甲子園で本塁打が出にくい。同時にバースや掛布がいかにうまく「乗せて」打っていたかが分かる。浜風は気温などの影響を受け、日によって微妙に方角も変わる。切り裂いて、あるいは乗せて。本塁打の数は勝敗におおむね比例するだけに、1本でも多く放物線を描きたい。【阪神担当 池本泰尚】

甲子園で本塁打を放つ阪神バース。投手槙原寛己(1985年4月17日撮影)
甲子園で本塁打を放つ阪神バース。投手槙原寛己(1985年4月17日撮影)